- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都日野市
- 広報紙名 : 広報ひの 2025年10月号
■すべての人がともに生きるまちへ~目が見えない人に聞いてみよう
▽今回お話を伺った人
平松元氏
日野市視覚障害者協会・日野市障害者関係団体連絡協議会副会長
ご自身も目が見えない当事者
市は令和2年4月から「日野市障害者差別解消推進条例」をスタートし、令和7年4月には条例を改正しました。本条例では障害のあるなしにかかわらず誰もが互いに人格と個性を尊重し共生するインクルーシブ社会「ともに生きるまち日野」の実現を目指しています。今回は皆さまに「ともに生きるまち日野」をより身近なものとして考えていただくため、日野市視覚障害者協会と日野市障害者関係団体連絡協議会の副会長であり、ご自身も目が見えない当事者の平松さんにお話を伺いました。
Q.目が見えないことで困ったことや不安なことなどはありますか
A.一番困ってるのは毎日の買い物です。以前、店内で介助をしてくれたスーパーがなくなってしまい、別のスーパーでは介助の対応が難しいため、必ずヘルパーさんに同行してもらう必要があります。コンビニ程度であれば1人で買い物ができるのですが、コンビニでは生鮮食品があまり売られていないので困っています。2つ目は、電車で移動する際に、分からないことが聞けないことです。駅員の人数が減っているため、事務所の中にはいても、駅のホームに駅員がいないことが多いので、聞ける相手を見つけることが困難です。3つ目は災害です。いざ災害が起きたときは、家の中であっても、落ちてきたものが割れたりしていたら、室内を歩いてけがをしてしまい、安全に過ごすことができなくなってしまいます。
Q.日野市に住んでいてよかったと思うことを教えてください
A.福祉教育ハートフルプロジェクト(※)の一環で、小学校に出向いて障害当事者が講演するという取り組みを通じて、成果が上がっていることを実感したことです。住んでいるマンションの中で迷ってしまった際に、子供たちが声を掛けて助けてくれました。「初対面なのによく声を掛けられたね」と言うと、授業で講師の先生が教えてくれたと言っていたので、やはり福祉教育はとても大事だなと実感しています。以前、通勤で駅を利用していた際も、電車を降りると、一緒に行きましょうかとよく声を掛けてくれる方がいました。障害とは何かを学ぶことも大事だと思いますが、障害のある方と同じ環境にいて、その存在に慣れることも、障害理解に向けた大事な要素の1つだと思います。
Q.市民の皆さんに伝えたいことを教えてください
A.目の見えない困っていそうな人を見かけたら、ぜひ声を掛けてほしいです。白杖を必死に動かして、地面を探っているように見える時は、たいてい道に迷っています。そういう時に、大丈夫ですかと声を掛けてくれると助かります。声を掛けてうまく話ができるだろうかと不安に思うかもしれませんが、目を合わせることができないだけで、普通に話はできるので、ちょっと勇気を持って話しかけてもらえるとうれしいです。
※福祉教育ハートフルプロジェクト…市内小・中学生を対象に、福祉教育の教材(ハートフルブック)を活用した授業を実施し、障害当事者をはじめとするさまざまな方から話を聞いたり、体験をすることで、「多様性」や「違い」について考えるプロジェクト
いかがでしたでしょうか。地域に住む目が見えない方の意見や想いを聞いて、その暮らしぶりを身近に感じることができたと思います。
障害のあるなしにかかわらず誰もがともに生きるまちを実現するためには、障害があることを特別なことと捉えず、身近な存在として受け入れ、接することがとても大切です。
問い合わせ:障害福祉課
【電話】042-514-8991
