- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都東村山市
- 広報紙名 : 市報ひがしむらやま 令和7年(2025年)7月15日号
■そのイビキ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)では?
高速道の事故や新幹線のオーバーランの原因として、運転手の睡眠時無呼吸症候群(SAS)が関係していた事例があります。SASは、睡眠中のイビキに続く呼吸停止、または呼吸が浅くなる発作を反復する病気で、日中の強い眠気・起床時の頭痛、集中力低下などを引き起こします。放置すると高血圧、心疾患のリスクが高まります。原因は、肥満による頚部の脂肪、扁桃肥大による気道圧迫や、加齢、喫煙・飲酒による気道筋肉の弛緩、日本人の顎(あご)の小ささ等による閉塞性睡眠時無呼吸です。気道圧迫によりイビキをかき、睡眠中の呼吸停止、血中の酸素低下により睡眠の時間、質が低下し、慢性的な眠気と疲労感を引き起こします。SASの診断には、睡眠中の呼吸状態を測定するポリソムノグラフィ(PSG)が用いられます。PSGは脳波、筋電図等を監視し、呼吸停止の回数、程度を記録します。家庭で行える簡易睡眠検査もあります。1時間あたりの無呼吸、低呼吸回数(AHI)が5回以上でSASと診断されます。AHIの回数により軽度・中等度・重度に分類されます。治療法は、体重管理、禁酒、禁煙といった生活習慣の改善に加え、軽~中等度にはマウスピース。重度には、鼻マスクから空気を送り気道を確保するCPAP療法(持続陽圧呼吸療法)があります。効果が無い場合は手術も検討されます。早期の診断と治療により、生活の質と健康寿命、安全の向上が期待されます。
東村山市医師会