文化 北秋田だより Vol.19

国立市と秋田県北秋田市は、平成30年に友好交流都市となりました。「北秋田だより」では、北秋田市のさまざまな魅力を定期的にご紹介していきます。

◆胡桃館(くるみだて)遺跡
北秋田市にある「胡桃館(くるみだて)遺跡」をご紹介します。
胡桃館遺跡は、北秋田市綴子(つづれこ)字(あざ)胡桃館にある平安時代(今から1,100年前)の遺跡です。昭和36(1961)年に発見されました。
昭和42(1967)年~44(1969)年の発掘調査で、4棟の建物とその建物を弧状に囲む柵列が見つかりました。日本の土壌は酸性が強く、木材などの有機物は腐ってしまうので残りませんが、本遺跡は北秋田市から東へ約50km離れた十和田火山(現在の十和田湖)が915年(または932年)に噴火し、火山灰を含んだ土石流で埋まったため、建物が立ったままの状態で出土しました。この十和田噴火は日本列島で有史以来最大の噴火だったと言われています。
見つかった木材には加工した痕跡が確認でき、建物には横板を交互に組み、奈良の古建築でみられる「板校倉(いたあぜくら)工法」でつくられたものもあり、古代の建築を考えるうえで非常に価値があるとされています。このことから、出土品のうち436点は平成21(2009)年に国の重要文化財に指定されました。出土品には須恵器(すえき)、土師器(はじき)、木製品、経を読んだ墨書が残る扉板などがあります。また「玉作(たまつくり)」や「建部(たてるべ)」等の人名と米の量が書かれた木簡も見つかっています。そのため、この遺跡は、「官衙(かんが)(役所)」や「寺院」だったという説が考えられています。
古代の火山災害の被害を考えるだけでなく、この地域に仏教が伝わっていたことを示す重要な遺跡です。
※収蔵庫は木材の保存のため、公開しておりません。

問合せ:北秋田市教育委員会生涯学習課文化財係
【電話】0186-62-6618