くらし 市長コラム 多摩の風 第134回

■いけ!みんなの夢まもるため
「なんのために 生まれて なにをして 生きるのか」NHKの連続テレビ小説「あんぱん」でよく聞くこのセリフ。やなせたかしさん作詞「アンパンマンのマーチ」冒頭の言葉です。
戦後80年の夏を間もなく迎えますが、私を含め戦争を知らない世代が圧倒的に多くを占める時代となりました。
やなせさんは陸軍に徴兵され下士官として中国大陸へ。26歳で終戦。この体験がアンパンマンに投影されていたのですね。しかも「それゆけアンパンマン」は、やなせさんが69歳の時の作品だったとは驚きです。
先月旅立たれた長嶋茂雄さんは9歳で終戦を迎え、戦後兄から野球の手ほどきを受けたとか。私がゴムボールの三角ベースで日が暮れるまで遊んでいたころ、長嶋、王そして巨人V9時代に導いた川上哲治監督当時は、まさに「巨人・大鵬・卵焼き」の時代でした。
長嶋茂雄さんの名言の一つ「ウサギとカメならカメでいい。我慢する勇気が重要なんです」この言葉に何度助けられたことか。困っている人、お腹を空かしている人に自分の顔を食べて元気になってというアンパンマン。ミスタージャイアンツもエンターテイナーとして最後まで私たちに勇気と希望を与え続けてくれました。
貧困で子どもたちが苦しまないよう、戦争で命を失わないよう「ああ アンパンマン やさしい君は いけ!みんなの夢 まもるため」(アンパンマンのマーチから)
(多摩市長 阿部裕行)