くらし 市長コラム 多摩の風 第135回
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- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都多摩市
- 広報紙名 : たま広報 令和7年8月5日号
■多摩村の人々の戦争体験
パルテノン多摩ミュージアムで「戦争と多摩の人々」という多摩村当時の人々の戦争体験に焦点をあてた戦後80年企画が開催されています。
ミュージアムで目に飛び込んでくるのは赤紙と呼ばれる召集令状です。村長の決裁を受け、招集者へは原則、3時間以内に手渡さなくてはならず、不在の場合は「動員下令印を携えすぐ役場に来い 多摩村役場」と真っ赤な紙が家に貼られました。
多摩市役所の高台の片隅に日清・日露戦争の戦没者を弔う彰忠碑がありますが、戦後の昭和22(1947)年、これを隠すため警防団が碑に土をかけ、築山のようにしたという事実を初めて知りました。
当時、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は戦前の国体護持や戦争美化につながるものの撤去・廃止を求め、忠魂碑などについても撤去を求めたようです。この命に抵抗し、巨大な建立物を隠したというわけです。
今回の企画展はパルテノン多摩の学芸員と市民学芸員の皆さんが協力し、落合地区の出征者の記録『落合の軍隊記録』のデータ化、彰忠碑の再検証、聞き取り調査、軍事郵便や全国的にも希少な村役場の兵事関係資料などを調査・研究したものです。展示は11月9日(日)まで。
市民学芸員の皆さんが時空を超え、足で稼いだ今回の企画。正直、感動しました。なお、パルテノン多摩では定期的に市民学芸員の養成講座を行っています。ご希望の方はパルテノン多摩までお問い合わせください。
(多摩市長 阿部裕行)