- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都八丈町
- 広報紙名 : 広報はちじょう 2025年11月号
■10月1日、八丈島歴史民俗資料館がリニューアルオープン!知る・考える・未来につなげる~ものを通して人と人をつなぐ場所へ~
昭和50年の開館からちょうど50年。節目の年に新しく生まれ変わった八丈島歴史民俗資料館について、改修工事から展示づくりまで関わった教育課の鈴木進吾さん・久保寺洸佳(ほのか)さんにお話を聞きました。
Q1.リニューアルに至った経緯
洸佳さん:昭和14年に建てられた建物を使って、前資料館は昭和50年にオープンしました。平成11年には国の登録有形文化財になったんですが、平成23年頃から老朽化が目立ってきて……。
この先どうしていくか町で話し合った結果、今の場所で耐震工事と展示のリニューアルをすることになりました。令和4年から工事を始めて、令和7年10月にようやくリニューアルオープンを迎えることが出来ました!
Q2.新しい資料館はどんな役割を持っているのか?
進吾さん:「物を通して人と人をつなぐ場所」になってほしいと思っています。展示を見て終わりじゃなくて、「なぜ?」「どうして?」「もしかして」「なるほど!」と思いを巡らせ考えることで、物語が生まれるんです。その物語が人との会話につながり、関係性を生み、未来へ受け継がれていく。そんな場所になったらいいなって。
洸佳さん:八丈島って「流刑地だった島」「飢餓の島」っていうネガティブなイメージをもっている人もいて、それも事実だけど、流人の人々からの新しい文化や技術を、島の人が受け入れ、お互いに助け合いながら、力に変え、イメージよりもはるかに豊かに暮らしてきた歴史があるんです。そういう”知られざるストーリー”を知ることで、来館者が「自分にも関係あるかも」って思えるような展示を目指しました。
Q3.改修で特に大変だったこと
進吾さん:国登録有形文化財の建物なので、柱や天井などひとつひとつの価値を調べて、どのように活用するかを慎重に判断しながら進めました。あと、元々使われていた空間が限られているので、保存と使いやすさのバランスを取るのがすごく難しかったですね。
洸佳さん:
展示資料も古くて、劣化して使えないものが多かったんです。修復できるものは丁寧に直して、それでもダメなものは代わりの資料を探して……。
また、ガイダンスシアターの映像は天候に恵まれなくて、撮影が何度も中止になりました。何回も何回もチャレンジして、ようやく完成したんです。思い入れのある映像になりました。
Q4.来館したらここを見てほしい!というポイント
洸佳さん:文化財の建物を、伝統技術で改修している部分をぜひ見てほしいです。展示では8K映像の迫力や、タッチパネルで見られる「流人明細帳」「八丈島ことばかるた」など、体験型のコンテンツが増えました。QRコードを読み取ると、詳しい解説も見られるようになっています。
Q5.これから資料館はどんな場所になってほしいか?
進吾さん:子どもたちが島の歴史に誇りを持てるような場所になってほしいです。何度来ても新しい発見があるような、そんな資料館に。観光客だけじゃなくて、島民がふらっと立ち寄って「自分たちの物語」を再確認できる場所になったら嬉しいですね。
洸佳さん:歴史って、過去を知るだけでなくて、未来を考えるヒントにもなると思うんです。この資料館は地域に愛されて、次の世代に受け継がれていく存在であり続けてほしい。ここを訪れることで、「八丈島で生きるってどういうこと?」を感じ、考えてもらえたら嬉しいです。
Q6.読者のみなさんへのメッセージ
洸佳さん:島の人も、島外の人も、ぜひ一度新しい資料館に来てみてください!見て、知って、楽しんで、「こんな発見があったよ」って誰かに伝えてもらえたら最高です。子どもたちにとっても、身近で愛される存在として、みんなで資料館を育てていけたら良いなと思っています。
■取材後記
今回のインタビューを通して、「展示するだけじゃなく、人と人をつなぐ場所になってほしい」という強い想いが込められていることがひしひしと伝わってきました。
文化財としての価値を守りながら、新しい展示や体験を生み出すのはとても大変な作業だったと思います。進吾さん、洸佳さん、そして関係者のみなさんの努力と情熱によって、資料館は新たなスタートを切りました。
このリニューアルをきっかけに、八丈島の歴史や文化がもっと身近になり、未来へと語り継がれていくことを願ってやみません。
構成:八盛隊
問い合わせ:企画財政課企画係
【電話】2-1120
