- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県横浜市
- 広報紙名 : 広報よこはま 令和7年1月号
■循環型の地球にやさしい社会をヨコハマから
私たちの生活に深刻な影響を及ぼす気候変動への対策を推進するため、横浜市は、世界最大の家具量販店イケアの日本法人であるイケア・ジャパン株式会社と連携協定を締結し、循環型社会や脱炭素化への取組を共に進めています。
地球環境にも人にもやさしいこれからの暮らしについて、同社のファーレ社長と山中市長が語りました。
◇環境型社会のイメージ
原材料→作る→
・使う→新しい原材料に→(リサイクル素材)
・使う→直す→使う
・使う→譲る→使う
(※本紙に図が掲載されています。)
◆ヨコハマから地球にやさしい行動を
◇ファーレ社長(以下…ファ)
私の出身のスウェーデンの人達は、気候変動や自然の減少がもたらす影響について、積極的に学び、脱炭素に向けた行動をしています。イケア・ジャパンでは、日本においても、気候変動などの社会的課題の解決につながる消費者行動を促進し、それを後押しする店舗の運営や、製品の品質向上に取り組むことが企業としての大切な役割と考えています。
まず、2018年からすべての大型店舗において、二酸化炭素等をほとんど排出しないクリーンなエネルギーを100%使用して、お客様をお迎えしています。2013年からは社内のすべての電球にLEDを使用し、現在、イケアで販売しているのもLED電球のみです。
今後は、すべての輸送用大型トラックをガソリン車から電気自動車(EV)に切り替えて、製品輸送にともなうCO2排出ゼロを目指しています。お客様のご自宅に商品をお届けするサービスでもEVトラックを使用しています。
◇山中市長(以下…山)
EVの使用は、CO2削減に向けた大切な取組ですよね。市役所としても、公用車やごみ収集車を、EVに切り替えていくのはもちろんですが、市内で進められているEV化を後押しするため、急速充電器の設置を加速しています。車を使用しない時間帯にゆっくり充電する普通充電以外に、出先の渋滞や充電忘れでバッテリー残量が少なくなった場合に、急速充電器が利用できる環境が整わないと、EVは普及しません。
横浜市には、現在、自治体最多となる200のEV急速充電器が設置されていますが、2030年度までに400に倍増させます。また、EVトラックなどの大型車が利用できる急速充電スポットを、日本で初めてみなとみらい地区の公道上に設置しました。
◇ファ
素晴らしい取組ですね!行政がこういう社会基盤を整えてくれると、環境に優しい取組が横浜でどんどん広がりますね。
◆ごみをださない循環型社会へ
◇山
イケアでは、できるだけリサイクル素材(ある産業で生産され使用済となったものを、単に廃棄せずに加工しなおして作り出された素材)などを使って新たな製品を作ることを重視されているとお聞きしました。「できるだけ廃棄物を出さずに再活用する」という、いわゆる循環型社会の考え方ですよね。
◇ファ
プラスチック、金属、木材、繊維など多岐にわたりますが、弊社製品の原材料には、リサイクル素材や再生可能素材の使用を進めています。現在の製品の原材料のうち、17%がリサイクル素材を使用し、56%が植物などの再生可能素材を用いています。そして、2030年までに、全ての製品を、リサイクル素材や再生可能素材のみで製造することを目指しています。
また、イケアでは、お客様から買い取ったイケアの家具や店頭展示品などを購入できる「サーキュラーマーケット」を全店舗で展開しています。2023年までに買い取った家具は45,000点。これらは十分に点検や修理をして販売しています。お客様に使い捨てではない製品を推奨して、製品に第2の人生を与えたいと思っています。限りある資源を有効に活用し、新たな廃棄物の量も減らすことで、循環型社会の未来に近づきたいと思います。
◇山
これまでのビジネス目線だと「新しいものをどんどん売る」という考え方もあるのかもしれませんが、今は気候変動や環境に配慮した取組が企業価値に直結する時代ですね。
◇ファ
私達は、リサイクルや買い取り等をはじめ、一つの製品を色々な意味で「長く使ってもらえる」ことが「良いビジネス」だと思っています。もっとも重要なのは、家庭のことだけでなく、世界や地球全体のこととして考えていく視点です。人々の暮らしを豊かにするのはもちろんですが、長く使ってもらえる製品を提供して地球にもやさしくなることが重要だと思います。そのような視点をもち、未来に向けて、妥協せずにチャレンジしていきますし、それがイケアに求められている社会的責任だと考えています。