文化 都筑区に関する歴史コラム 第17回

◆江戸時代の村へのいざない
横浜市歴史博物館 仲泉 剛(なかいずみつよし)

読者の皆さま、現在お住まいの町が江戸時代にどのような場所だったのか、疑問に思ったことはありませんか。そのような際に役に立つものとして、『新編武蔵風土記稿(しんぺんむさしふどきこう)』と呼ばれる史料があります。これは、江戸幕府の地誌編さん事業として1810年(文化7)に始まり、1830年(天保7)に完成しました。記載事項は、自然、歴史、農地、産品、神社、寺院、名所、旧跡、人物、旧家、習俗、土地柄など多岐にわたって記されています。
写真は、『新編武蔵風土記稿』の内、大熊村(現、都筑区大熊町)の箇所の一部を抜粋したものです。大熊村に住む儀右衛門(ぎえもん)という百姓は「旧家(きゅうか)」と伝えられており、家には刀(かたな)・鞍(くら)・鎧(よろい)などが伝来しているとのことで、その内の鞍の挿絵が描かれています。このように、『新編武蔵風土記稿』を読むと、江戸時代の都筑区の様子を知ることができます。現在は活字本が出版され、図書館などで読むことができます。

『新編武蔵風土記稿第4巻大日本地誌大系10』(雄山閣(ゆうざんかく)、1981年)より転載

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