- 発行日 :
 - 自治体名 : 神奈川県横須賀市
 - 広報紙名 : 広報よこすか 令和7年10月号
 
横須賀市とネパールのバラトプル市は、2019年に人材の送り出しなどの相互支援に関する覚書を締結。共に働きやすい環境づくりを進めています。
■働く人も採用する企業も安心な環境を
現在、少子高齢化による就業人口の減少は全国的な課題の1つ。市内でも、多くの業種が深刻な人材不足に直面する中で、さまざまな取り組みを進めています。その1つとして、市が注目したのは諸外国との連携です。
本市に拠点を持つ「NPO法人日本・ネパール相互協力隊」とのつながりを生かし、2019年にネパールのバラトプル市と共に「横須賀で働きやすい環境づくり」を目指すことになりました。現在では、就労の枠にとどまらず、幅広い分野での相互協力を掲げ、友好関係を深め続けています。
▽多様な人材を採用する横須賀ならではの仕組み

■〔多様性を認め合い、互いに慈しみ合う〕誰も一人にさせないまちの原点がここに
「日本で働きたいという夢をここで叶えられました。一緒に働く皆さんが、家族のように親身に接してくれて、すごく安心。ずっと横須賀にいたいと思っています」はにかんだ笑顔でそう話すのは、バラトプル出身で市内の特別養護老人ホームで働くジュナさん。
「海軍の街」として発展してきた横須賀は、戦前から、さまざまな人種や文化が混ざり合い、共に手を取り合いながら暮らしてきた歴史があります。それぞれの出身地や考え方の違いを超え、支え合うことが「当たり前」のまち。それが横須賀の原点とも言えます。
近年、市内の介護や建設の現場を中心に「海の向こうの国」に住む皆さんの力を借りながら、まちを支える動きが広がっています。「働く」ことだけにとどまらず、人のぬくもりが垣間見える、ジュナさんの言葉の裏には、受け継がれる横須賀の原点が存在するのかもしれません。
・NPO法人日本・ネパール相互協力隊のウォスティ・ロクナト理事長は「多くのネパール
国民に横須賀で暮らして欲しい」と願い、ネパールと横須賀の懸け橋として尽力しています。
▽ネパール第三の都市「バラトプル」
ネパールの首都・カトマンズ南西に位置し、人口は国内で3番目に多く、横須賀市と同規模。豊かな自然や広大な農地に恵まれています。
多民族・多文化の共生がみられ、人々の温かさがあふれる地域。市民の海外就労への意欲が高いといわれています。
■「仕事」を超えたつながり仲間の幸せのために
「横須賀での生活を幸せと感じてくれることが、私の原動力。ここに来てくれて、ありがとうという気持ちで、寄り添い続けたいです」と話すのは、バラトプル出身のシタさんとジュナさんが働く、特別養護老人ホーム恵徳苑の市岡施設長。
互いに思い合いながら、絆を深めてきました。市岡さんは、2人の幸せを常に願い、日常の暮らしや身の回りのサポートはもちろん、言語や資格取得に向けた学習支援などに尽力。
介護福祉士を目指すシタさんは「横須賀はバラトプルに似ていて、住みやすい。資格を取得して、将来は家族とここで暮らしたい」と横須賀での幸せのカタチを夢見ています。
「困っている時には、手を差し伸べる。当たり前のことをしているだけ」と話す市岡さんの温かい笑顔は、そこに国境や文化の隔たりがないことを物語ります。そして、仲間として絆を深める姿は、横須賀の原点を浮かび上がらせています。
■仲間と共に広がる信頼と成長の輪
つながりの舞台は、介護の現場だけではなく、他業種にも広がっています。
株式会社ヨコソーでは、建設現場の戦力として、バラトプル市から来日した2人が活躍中です。「礼儀正しく、真摯に仕事に励む姿に、周りのスタッフたちも信頼を寄せています」と話すのは、同社の齋藤取締役副社長。さらなる飛躍を期待し、会社全体で環境整備やサポートに注力しています。
◇株式会社ヨコソーの皆さん
・志の高い2人と共に働き、成長できることが私たちの喜びです。
取締役副社長 齋藤さん
・仕事のつながりだけではなく、日本での快適な生活をサポートしています。
チーフマネージャー 白柏さん
・技能士の資格取得を目指し、休日も勉強に励んでいます。
本店第二事業部 RA課 ロカハさん
・職場のみんなに支えられ、言葉の壁や仕事の難しさを乗り越えられています。
本店第二事業部 RA課 タパさん
■深まる交流新たな仲間との出会いを目指して
2023年には、長井海の手公園ソレイユの丘で親善交流イベントが開催され、市民同士のふれあいも生まれました。
また、ネパール政府関係者が横須賀市長を表敬訪問するなど、信頼関係も深まっています。
今年3月には、市長が市内経済団体と共にネパールを訪問し、送出機関や日本語学校などを視察。
今後もネパールの皆さんや市内企業の声に耳を傾けながら、受け入れ体制のさらなる充実を目指しています
■To the future 「仲間」と共に未来へ
誰かが来てくれること。一緒に生きてくれること。
横須賀は、そのことに「ありがとう」と素直に言えるまちです。
このまちに暮らす一人一人の当たり前の優しさが、世界とつながる大きな力に。そして、違いを受け入れ、助け合って暮らしてきた歴史があるからこそ、築くことができる絆があります。
今後も、人と人、まちとまちのつながりを通じ、「仲間」との新たな可能性、未来の創造に期待が高まります。
問合せ:経済企画課
【電話】822-9392
