くらし [「いま」の行動が未来を決める]モルディブで見た気候変動の現実

インド洋に浮かぶ約1200の小さな島々から成るモルディブ。市は、国際交流イベントへの参加や東京2020オリンピック・パラリンピックの事前キャンプの協定締結など、これまで10年来の交流を続けてきました。
モルディブは青い海にサンゴ礁、白い砂浜、水上コテージといったリゾート地として有名ですが、現在、気候変動による海面上昇によって、島の多くが水没の危機にあります。
同国を訪問して、実際に目の当たりにした現実や、今後の交流についてお知らせします。

◆国土の8割が海抜1m未満のモルディブは水没の危機に直面

令和7年1月25日、三の丸ホールで開催された気候変動をテーマにした国際シンポジウムにおいて、駐日モルディブ共和国臨時代理大使から「小島嶼(しょ)国であるモルディブは、国土の8割が海抜1m未満であり、気候変動による海面上昇によって水没するという国家存続の危機にある」と、切実な窮状が語られました。
さらに、本市との都市間交流を希望しているフォームラク市への訪問依頼や、国家独立60周年記念式典への招待を受けました。そのため、気候変動による危機に直面している現状を知り、同国の不安や苦しみを分かち合う関係を築き、気候変動対策を私たち一人一人が自分事として取り組む契機とするため、7月に市長がフォームラク市と首都マレ市を訪問しました。

◆海岸線の後退により土地が減少
初の気候変動対策を提唱した国

フォームラク市は国内で3番目に人口が多く、赤道直下に位置する都市です。市内では、海岸線の後退が進んでいて、過去約50年間でおよそ40m後退し、既に島の3パーセントに及ぶ約15ヘクタールの土地が失われたと推測されています。
実際に海岸へ出てみると、砂浜から1段上がった部分にヤシの木などが立っているものの、その根はむき出しとなり、中には横倒しになった幹の途中から、新たに上方へ伸びている木もありました。こうした状況を防ぐために、モルディブ政府は後退が著しい部分の護岸整備を行っています。港では、高さ5mほどの堤防を乗り越えそうな勢いで度々波しぶきが上がり、海面が上昇していることを実感できます。海岸線の後退は、今回訪れたマレ市のマレ島や、ビリンギリ島でも同様に起こっており、それぞれ消波ブロックや土のうなどで対策を講じていました。
モルディブは昭和62年の国連総会において、気候変動対策の必要性を初めて提唱した国で、これが契機となり、気候変動問題が特定の国だけでなく、地球規模の深刻な問題と広く認識され、今日では科学的根拠に基づき世界中で共有されています。
こうした経過を踏まえ、気候変動という地球規模の課題に対し、私たちに何ができるのか、考えを巡らせて行動していく必要があります。

◆現地の学生×市長
科学・環境クラブに所属する高校生との懇談

フォームラク市で、日本の小中高一貫校に相当する公立学校「GNアトール教育センター」を訪問し、科学・環境クラブの高校生代表10人の皆さんから活動紹介を受け、懇談しました。
当クラブは中学・高校生で構成され、科学実験や調査研究、科学フェアの開催、地域活動への参加など多岐にわたる活動を行っています。島内のビーチの傾斜がどう変化しているか、水質に問題がないかなどを調査したり、ペットボトルのキャップを活用したワークショップなどを実施したりしています。
代表の皆さんからは「気候変動の影響で問題となっている、海岸浸食を科学の力で解決していきたい」「ここで学んだことを生かし、将来は環境系のエンジニアになりたい」「日本との友情を育み、気候変動などの共通課題解決のため協力していきたい」といった意見や抱負がありました。また「今後、フォームラク市と小田原市の間で若い人たちが交流するとしたら、ぜひ参加したい」「ホストファミリーとしても受け入れたい」などの前向きな意見もありました。
今後、将来的な相互交流を視野に、若者同士が学び合える方策を検討します。

市長動画でも報告しています

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