くらし 連載市民インタビュー 人生のへそは逗子にあり

身の回りの人々や地域の環境、そして自分自身を信じ認めて前向きに生きる市民に、このまちで生きる意味を聞きました。

■“日本でテルミンといえば逗子”が夢
テルミン奏者 大西ようこさん(久木)

楽器に触れずに音を奏でるテルミンの演奏家として活動する傍ら、市内でテルミンミュージアムを運営する大西さん。10月に開催される、逗子アートフェスティバル(以下、ZAF)でも演奏予定だ。

●奏法も音色も不思議な楽器テルミン
テルミンは、1920年にロシアの物理学者テルミン博士によって発明された電子楽器。回路が入った箱から出た2本のアンテナに手をかざし、音を操る。「“ここがドの音”という空間的基準がなく、手の動かし方も人それぞれ。環境によっては演奏中に音がずれていくことも。とても繊細な楽器です」と話す。操法もさることながら音色も独特で、映画の効果音などにも活用された。その後、電子楽器はシンセサイザーへと発展したが、今でも世界中にテルミンファンが多いという。

●演奏を極め、博物館もオープン
大西さんとテルミンの出会いは25年前。カルチャースクールでの体験をきっかけに、その魅力に一気にはまってしまった。テルミン奏法を学び、全国各地で演奏会を行うまでに。他にも、CDのリリースやテレビアニメの効果音制作なども務める。
2020年には、自宅そばにテルミンミュージアムを開設し、さまざまな種類のテルミンを展示。「世界で唯一のテルミン博物館です。楽器を寄贈してくださる方もいて、現在36台あります。テルミンの体験もできるので気軽に来てほしい」と話す。

●テルミンの魅力を逗子から発信
逗子生まれ。大学卒業後に逗子を離れたが、8年前に戻ってきた。ZAFを知り、3年前に初参加。昨年は、旧逗子高等学校でテルミンと切り絵のコラボレーション企画を開催し、延べ500人が訪れた。「ZAFに関わる人たちは、人のつながりを作るのが上手で勉強になります」と言う。今年は切り絵に加え、箏(こと)とコラボレーション演奏を行う。
「テルミンを通して、逗子はもちろん、世界中の人との出会いがたくさんあります。“日本でテルミンといえば逗子”と言われるよう、これからもテルミンを奏でていきたい」