- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県厚木市
- 広報紙名 : 広報あつぎ 第1448号(2025年6月1日発行)
楽しい食事や会話、趣味、運動ー。私たちの何げない日常を歯と口の健康が支えています。特集では、6月4日から10日までの「歯と口の健康週間」に合わせ、自身の経験から歯の大切さを伝える2人の姿を追いました。
■実感した効果を皆さんにも
健康あつぎ推進リーダー
横田 剛一朗さん(54・妻田南)
「口を健康に保つのは、運動や食育のほか、社会参加に必要なコミュニケーションを図る上でも大切なこと」。そう話す横田剛一朗さんは、胸に「健幸」と書かれたそろいのシャツに袖を通し、身ぶり手ぶりを交えながら、笑顔で口の体操を教えます。横田さんは、ボランティア団体・健康あつぎ推進リーダーの一人です。
▽まずは関心を
推進リーダーは、2011年に発足し、現在は20代から80代までの16人のメンバーが所属。依頼を受けて開催する出前講座を中心に、口の健康体操に加えてストレッチや歌を歌うなど、体を元気に保つための知識を伝えています。
横田さんが、健康を考えるようになったのは7年前。勤め先で受けた健康診断の結果に、危機感を覚えたのがきっかけでした。「『健康は大事』との認識はあったが、行動は何もしていなかった」と振り返ります。本や動画で知識を学び、運動や食事の栄養バランスを気にしているうちに、生活習慣や健康への意識が変わっていったと言います。そんな時に推進リーダーの募集を知り、多くの人たちに健康の大切さを呼び掛けるため、22年にメンバーになりました。
健康に向けて取り組んだ経験を生かせると思い応募した横田さんが、「歯と口の健康」を知ったのは推進リーダーとして活動する中でした。「勉強してきたつもりだったが、歯と口にも健康があると聞いて、目からうろこが落ちる気持ちだった」と笑顔で振り返ります。体操の方法や効果、専門的な知識などを一から学び、自身でも毎日、顔や口の体操をするようになりました。続けていると、友人たちから「滑舌が良くなった」「ほうれい線が薄くなり、表情が明るくなった」などと言われることが増え、身をもって効果を感じるようになりました。「口の健康を知らない人は多い。自分自身が必要性を感じられたので、皆さんにも伝えたい」。活動にも力が込もります。
▽楽しみながら健やかに
出前講座は、要望に応じて推進リーダーたちが内容を考えています。説明では専門用語は控え、道具を使ったり、一緒にやってみたりと、楽しくて分かりやすい講座を心掛けます。横田さんは「受講者から『毎日続けている』『効果が出た』などの声をじかに聞けた時が、やってよかったと思える瞬間」と目を細めます。
一人でも多くの人に健康で幸せになってほしいと願う横田さんは「1日10分でもいい。小さな習慣をつくってほしい」と力強く話します。「口を開けて舌先に力を入れて動かします」「右、左、上、下」「皆さん上手ですね」。今日も部屋からは、元気な声が聞こえてきます。
■積み重ねた歩みを生かして
歯科衛生士
亀川 美乃さん(57・岡田)
穏やかな陽気に包まれた季節に、保健福祉センターの一室にある机には色とりどりの歯ブラシや歯の模型などが並びます。柔らかな表情で、ライトを手に口の中をのぞき込むのは、歯科衛生士の亀川美乃さんです。「虫歯予防には、習慣や意識付けが大事。年を重ねても、ずっと元気で過ごしてほしい」と、相談者の不安や悩みに耳を傾けています。
▽健康の一助に
亀川さんが歯科衛生士を志したのは、高校生の時です。姉が歯科衛生士だったことや、家族や周りにも勧められて専門学校に進学。専門的な知識や実技などを2年間にわたって学び、資格を取得しました。卒業後は歯科医院で勤務し、医師の指示を受けながら虫歯予防の処置やブラッシング指導、診察の補助などに当たる毎日を送りました。「かめなかった患者さんが治療で良くなり、明るくなったときはうれしかった」と振り返ります。
歯が痛くて食べられない、体に不調を来した患者などを目にしてきた亀川さんは、年を重ねるにつれて、歯の健康やケアの大切さをひしひしと感じるように。39歳の退職を機に、市が実施する乳幼児の健診や健康相談に出合い、「知識や経験を生かし、多くの方の健康を支える力になれるかもしれない」と、2006年から相談員などとして活躍しています。
▽晴れやかな明日へ
「不安の解消に向けたアドバイスはもちろん、まずは声をしっかりと聴くことを心掛けている」と話す亀川さん。約19年間にわたり、子どもから大人まで幅広い年代の悩みに心を通わせてきました。子どもの相談では、歯磨きを嫌がる、歯並びが気になるなど予防の話が中心。「予防は早いうちから」と、磨き方のポイントや歯ブラシの選び方を模型などを使いながら、分かりやすく伝えています。成人には、虫歯やかみ合わせに加え、インプラントなど専門的な悩みも寄せられます。中には、「通院しているが、詳しく聞けないので来た」という人もおり、相談できる環境や自分の役割への充実感をのぞかせます。
「一人で悩まず、小さなことでもいいので、まずは相談してほしい」と呼び掛ける亀川さん。「痛みがあるから病院に行くのではなく、人間ドックと同じように予防を意識してほしい。『きれいに保つ』という健康意識を高めるために、これからも声を掛けていきたい」と力を込めます。「いつまでも元気にいられるように」。亀川さんは今日も訪れた相談者を優しく受け入れ、豊かな経験と知識を惜しみなく伝え続けています。
問合せ:健康医療課
【電話】225-2201