文化 自然歳時記

■ヤマボウシ(ミズキ科)
花は6月ごろに咲き、真っ白で美しい(円内の写真)。実が集合果で秋に赤く熟し甘酸っぱくておいしい。その実を鳥類や昆虫類が食べお互いに共存共栄している/棚沢の里山で見つけた。

樹木の表面いっぱいに咲いた花(総苞片(そうほうへん))を、山法師がかぶる頭巾に見立てたことが名前の由来と言われている。厳しい暑さが続きヤマボウシの実は大きくならないまま落ち、葉も黄色くなり元気がなかったが、昆虫たちのおかげで何とか受粉はできていた。恵みの雨を機に樹勢を取り戻し、大きな赤い実になった。鳥たちが食べた実の種が、広い範囲に運ばれて繁殖する。
オオスズメバチはキイロスズメバチを追っ払って実を食べていたが、小バエが目に止まると驚いて逃げた。ヤマボウシを取り巻く自然は、美しく不思議に満ち満ちている。

写真・文:吉田文雄

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