- 発行日 :
- 自治体名 : 新潟県加茂市
- 広報紙名 : 広報かも 令和7年6月号
■加茂養生訓 15
(飲食色欲などの内欲をこらえず、風寒暑湿の外邪を防がざれば、其のおかすことはすこしなれども、後に病をなす事は大にして久し)
▽ー生活習慣病の予防 その1-高血圧症ー
加茂病院 富所 隆
桜の季節も終わり、“目に青葉…”の季節がやってきました。今年の春は、下条川ダム湖まで桜を見に行ってきました。湖を取り巻く桜並木は、よく見る川岸の桜並木とは違い、大自然の中で桜と一つになれるような感覚を覚え、あたかも桃源郷に誘われたような、とても新鮮な感覚でした。
さて、今回から私たちにとってとても身近な生活習慣病についてお話しします。
初めに、皆さんは『未病』という言葉をご存知でしょうか?『未病』とは健康な状態から病気に至る前の、健康と病気の間の状態を指します。病気とはある日突然起こるのではなく、発病前から少しずつ変化しているものとして考えます。つまり、健康と病気を「二分論」の概念で捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものとして捉え、この全ての変化の過程を表す概念とされています。約2000年前の漢代に東洋医学の基本的思想を記した『黄帝内経』という原典が発祥とされています。そんなに古く、しかも東洋医学的な考え方が、現代の生活習慣病への対応を正しく示していることは驚きです。タイトルに記した『飲食色欲…』はまさに予防医療の大切さを、生活習慣病や高血圧などという言葉すらなかった江戸時代に貝原益軒が謳ったものです。
一旦病気になってから、それを治すには大変な労力が必要です。未病の状態であれば、容易に健康な状態に回復することは可能です。代表的な病気が皆さん良くご存知の高血圧症です。血圧がどんなに高くなっても、多くの人は全く症状がありません。では何故危険なのでしょうか?それは、血管に強い圧力がかかることで血管の壁を傷つけ、動脈硬化を引き起こすからです。動脈硬化は、脳卒中、心筋梗塞、腎不全など、様々な重篤な病気を引き起こす原因となります。
次回はその予防について、お話しします。