文化 九谷焼イッピン!ここが見どころ!

鑑賞ポイント「~絵画力の魅力~主題に着目!」 能美市指定有形文化財(工芸品)より

■斎田道開(さいだどうかい)「赤絵割模様五羅漢図平鉢(あかえわりもようごらかんずひらばち)」

斎田道開 赤絵割模様五羅漢図平鉢
サイズ:口径33.0/高16.0cm
作者:斎田道開
生没年:寛政8(1796)~明治元(1868)年
指定日:昭和35(1960)年12月2日
所蔵:狭野陶祖神社

佐野町の陶祖(とうそ)神社所有で斎田道開(さいだどうかい)(桶屋伊三郎(おけやいさぶろう))の作と伝わる鉢です。鉢の中央見込みの窓枠に、五人の羅漢(らかん)が描かれています。羅漢は釈迦(しゃか)のもとで悟りを開いた聖者たちです。赤絵細描(さいびょう)で羅漢の表情や衣紋、身体の輪郭線などを描き、布は赤濃(だ)みで賦彩(ふさい)しています。とても小さな枠内に、ここまで羅漢それぞれを個性豊かに表現し得る斎田道開の画力に驚嘆します。緑を多用し笹や松の木、岩や岩窟(がんくつ)などを破綻なく描いています。黄色も良く熔(と)け透明感があります。そのうえ二度焼で金彩を加え、宮本屋窯(みやもとやがま)の赤絵に劣らぬ出来映えとなっています。修業先の京焼の名工水越与三兵衛(みずこしよそべえ)の影響をうかがわせる作品です。仏や羅漢などの尊像(そんぞう)を描いた皿鉢は、当初より寺社に奉納する目的で制作したものだろうと考えられます。また、周縁(しゅうえん)立ち上がり部の三方の窓枠には、三霊獣である龍・鳳凰・唐獅子を軽快な運筆の赤絵細描で見事に描いています。(文・館長中矢)

■INFO
○「能美市いけ花協会 春の花展~新緑のたより~」
会場:|五彩館|ロビーギャラリー
期間:4月12日(土)~13日(日)※入場無料

○「第48回 伝統九谷焼工芸展」
会場:|五彩館|紫の間・緑の間
期間:~5月11日(日)

○新指定文化財(二代末川泉山作品2件)
常設展示室で展示中(|五彩館|)

○|五彩館|2階改修工事のため、「黄色の間」閉室
工事期間中(4月中旬までの予定)、
一般入館料を団体割引(430円→370円)

情報発信元:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館できます。

問い合わせ:【電話】58-6100【FAX】58-6086 ※月曜休館