- 発行日 :
- 自治体名 : 石川県津幡町
- 広報紙名 : 広報つばた 2025年3月号
■健康食品と医薬品の違いはご存じですか?
薬剤師 田中遼
皆さんは健康食品(サプリメント)と医薬品の違いをご存じですか?
健康を維持するという位置づけでは同じような印象を持っている方も多いかと思いますが、実はこの二つ、制度的に全く異なります。
「医薬品」とは、病気や症状を治療するために用いるもので、その効果と安全性が厚生労働省に認められたものだけが医薬品として取り扱われます。医薬品として認められるためには、厳しい臨床試験や厳格な審査が行われており、その科学的根拠を国が保証しています。皆さんが病院から処方されるお薬や、薬局やドラッグストアで購入するお薬が「医薬品」に該当します。
一方、健康食品は病気を治療するものではなく、健康の維持・推進を目的に摂取するものであり、特定の病気や症状の治療を目的としたものではありません。治療を目的としていないことから、特に臨床試験や効果に対する審査などもなく、あくまでも「食品」になりますので、効果や安全性に対する科学的な根拠はありません。
しかし、皆さんが普段の生活の中で、テレビを通して目にする機会が多いのは圧倒的に健康食品かと思います。「これを飲むようになってから〇〇の調子が良くなって~、生活がすごく楽になりました」というような内容で宣伝しています。見ているとつい効くのかな、試してみようかなという気持ちになってしまいますが、ここに一つ落とし穴があります。
「医薬品」の販売には厳しい規制がかかっており、認められた効果以外の内容を宣伝することは一切禁じられていますが、「食品」の場合はそのような規制はありません。「これを飲むようになってから膝の痛みが良くなって~、生活がすごく楽になりました」という先ほどのコマーシャルの例で言うと、痛みに効く医薬品は膝の痛みに効果があると宣伝できますが、生活が楽になるという効果は承認されていないため、このような宣伝を行うことはできません。しかし、食品であればそのような規制はないため可能になります。痛みに対して科学的に効果が保証されていれば「医薬品」になります。健康食品も使い方を間違えなければ体に有益なものになりますので、普段から病院でお薬を処方されている方は処方されたお薬を正しく使い、その上で健康食品を取り入れていただけると幸いです。また、健康食品には一部の医薬品と飲み合わせが悪いものがありますので、使用する際には医師や薬剤師にご確認ください。