- 発行日 :
- 自治体名 : 石川県津幡町
- 広報紙名 : 広報つばた 2025年11月号
■目が見えにくい方が被災されたら
眼科 内山ゆき子
被災し、避難や避難所生活、また自宅でライフラインが途絶えた状況では、視覚障害者の方は健常者の方以上に対応に困難を極めます。なぜなら、視覚障害者にとっての二大不自由である「移動」と「読み書き」が、避難やその後の生活に最も必要な要素であるためです。
また、視覚障害者といっても全盲の方は少なく、多くはロービジョン(生活に制限が出る見え方)と言われる方々です。そのような方々は、見えていたときの経験やその後の訓練により、日常生活や慣れた場所では一人で行動できる方が多く、普段は視覚障害者と気付かれない方もいます。そのため、急激な環境の変化により一人での行動が制限されやすくなるにも関わらず、周囲の方に視覚障害者としての配慮を十分にされないことがあります。
能登半島地震の際のアンケート調査では、避難所での主な困りごととして、(1)トイレの利用(2)移動の困難(3)情報収集の難しさが挙げられました。具体的には次のような声がありました。
・生活スペースを自分で確保できない
・トイレ関連が頼みにくい
・荷物が移動されても分からない
・あらゆる情報が張り紙である
・放送が雑音で聞き取りづらい
▼視覚障害者が備えたいポイント
・いつでも一緒に行動できる人を探す
・避難行動要援護者として登録する
・避難所、避難ルートの確認
・見えにくい方用の非常持ち出し品をリストアップ
・自宅の耐震化、必需品の準備、備蓄
・早めの避難
▼被災してしまったら
▽避難所では
・管理者と周囲の方に、目が不自由であることを伝える
・必要とする配慮を具体的に伝える
・当事者団体や支援団体に連絡
▽自宅では
・見える方に安全確認をしてもらう
・食料、水、簡易トイレの確認
・連絡手段を確保する
・支援者に自宅にいることを知らせる
▽健常者ができる支援
・話しかけるときは正面から
・自分が誰であるかを告げて困っていることを聞く
・誘導を頼まれたら、肘か肩を持ってもらい、見えない方の前を歩く
・後ろから抱えたり押したりしない
・状況を言葉で説明し、トイレの場所、使用方法の説明をする
視覚障害者の避難生活には、このような周囲の理解と支援が必要です。
