- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県福井市
- 広報紙名 : 広報ふくい 2025年3月10日号
福井の昔の写真を、学芸員の解説を添えて紹介します。
■福井随一の歓楽街「片町」
福井駅の北西に位置し、多くの飲食店や遊興施設が立ち並ぶ、通称「片町」。その名の由来は、江戸時代の福井城下町にさかのぼります。当時、九十九橋の北側の地域は商人や職人が住む町人地で、呉服町、京町といった多くの「町組」があり、その中に「片町」がありました。町組は道路を挟んで両側の家同士で組織されるものでしたが、当時の片町が面していた道路(現在の片町通り)の東側には福井城の外堀があり、片側(西側)にしか家が並んでいなかったため、片4町と呼ばれたと考えられています。
明治時代になり外堀が埋められると、片町通りの東側、元武家地だった地域に、繊維関係の問屋や金融機関などが建てられていきました。江戸時代以来の商業地である西側と、新興オフィス街である東側の境目で、片町は大いににぎわうようになります。
加賀屋座、国際劇場、松竹館、福井東宝劇場など、多くの劇場が開業し人々を楽しませたほか、大正7年に福井商業会議所ができると、繊維業が盛んな福井の商業界をリードしました。戦震災後は商店街となり、近隣の料亭街「浜町」の活況も受け、福井随一の歓楽街として発展していきました。