健康 JCHO-Column

■気管支喘息(きかんしぜんそく)について
JCHO福井勝山総合病院
呼吸器内科部長 小澤眞二

日本の気管支喘息の罹患者は約1千万人と推定され多い疾患です。喘息は気道(気管支)に、アレルギーなどにより慢性の炎症が起きていることが原因といわれます。そのため、息の通り道が狭くなりアレルギー物質(ダニ・ほこりなど)の刺激や寒冷刺激などで、咳(夜間・早朝に多い)、痰、息切れ、ヒューヒュー・ぜいぜいと音がする喘鳴、息苦しさなどの症状が出ます。慢性の気道炎症を起こすのはアレルギー以外にも感染や喫煙・肥満も原因といわれます。
気管支喘息の治療は近年、ステロイドという抗炎症薬に気管支拡張剤を配合した吸入薬が主体となっています。この薬剤が広く用いられるようになり、30年前には6,000人いた喘息死が1,000人程度になりました。ステロイドというと副作用を恐れる方もおられますが、吸入薬は気道に散布されるだけで、内服薬や注射薬のように血液中には吸収されないので副作用はほとんどありません。吸入薬が処方されたら用法通り使用してください。
通常の治療で症状や発作が残り、治療に内服ステロイドを要するような重症喘息の方には、ここ10年くらいで生物学的製剤(注射剤)が数種類出てきて、難治性喘息患者にも対処できるようになりました。私も数名の方に生物学的製剤を処方し奏功しています。この薬剤は、気道に炎症を起こす因子をブロックするような薬剤で高い有効性があります。
気管支喘息の治療で困るのは、治療によって症状がいったん改善すると、治療を自己中断する方がいることです。こういう方の中から強い発作を起こす方が出てきます。気管支喘息では治療の継続が重要です。長引く咳や喘鳴・息切れなどの症状のある方、早めに医療機関で診てもらいましょう。