くらし [巻頭特集]国際交流2.0への発展(1)

■山梨は新たなステージへ
山梨県が目指すのは、これからの時代にふさわしい、開かれた国際交流のかたち。山梨から世界へ、文化、経済、教育と、あらゆる分野で県民一人一人がつながりの担い手となる新しい国際交流のモデル―「国際交流2.0」―が動き始めています。

行政主導の交流にとどまっていた姉妹都市の関係がいま、県民一人一人が主役になる新たなステージへ進化を遂げようとしています。
かねてより、山梨県は「誰もが自由に選択し、挑戦できる社会」の実現を目標としてきました。文化や価値観の異なる人々と触れ合い、学び合う国際交流はその重要な柱の一つと考え、2025年現在、山梨県は世界各地の6都市と姉妹友好関係を締結しています。
県ではさらに未来を見据えた取り組みとして、従来の姉妹都市関係の在り方を見直し、六つの「戦略的互恵関係都市」を加えた、新たな「国際交流2・0」へとバージョンアップを図っています。

Q:なぜ国際交流が大切なの?
A:山梨県を取り巻く課題を解決するため
山梨県に限らず、現在、日本は少子高齢化の影響で国内市場の縮小や労働力不足が問題視されています。国際交流を進めることで、成長を続ける海外巨大マーケットへ進出できたり、県内で不足しているIT人材や介護人材を確保したりすることで、これらの懸案の解決に大きな力となります。

Q:他国が山梨県と手を結ぼうとする理由は
A:日本、そして山梨県のノウハウや産物を必要としているから
日本は災害を乗り越えてきた国です。そのため、山梨にもインフラや防災関連など、多数の技術が蓄積されています。また、山梨県が誇る再生可能エネルギーを利用してつくられた「グリーン水素」を求める国も多く、県が持つ情報を提供することで他国の課題も解消できる可能性があります。

Q:「国際交流2.0」はこれまでとどう違う?
A:国際交流のバトンが行政から県民の皆さんに手渡されます
文化交流や友好・親善を目的として、特定の都市同士が結び付く姉妹都市間の交流は、これまで行政間で行われるのが中心でした。今後はこれまで培ってきた信頼関係を礎に、文化、経済、教育などの分野で民間同士の実益をもたらす交流へと発展させていきます。
山梨県のリソースを活用して国際的な課題の解決に貢献することで、世界における山梨県の価値向上を見据えています。

※詳細は本紙をご覧ください

◇アート×国際交流を通じて未来のリーダーを育てる in California
「自分をコントロールする力」「他者を理解する力」「他者と連携する力」。三つの「人間力」を持つ次世代リーダーを育成します。県は、高校生と専門学校生、大学生の計8人をアンバサダーに任命してカリフォルニア州に派遣。「学生アート交流カリフォルニア州派遣事業」が始まります。
アンバサダーは、2025年11月に渡米予定です。全4日の行程で、現地のギャラリーを視察したり、学生と交流を行ったりします。
メインイベントはCool Japan Center内に展示するアートを通じた現地アーティストとの交流です。「気候変動と持続可能性」「世界平和と協力」「人種とジェンダーの平等」といったテーマでコンセプトをつくった上で、作品を制作、現地でのさまざまな交流を通じて次世代リーダーに必要な三つの力を養成していきます。
カリフォルニア州・ラグナビーチ市とは、2024年に文化交流などの促進に向けた協定を締結しています。10月にはカリフォルニアの自治体関係者などを招く「富士カリフォルニアリーダーズサミット」も開催予定です。サミットでは県産食材を活用し、双方の料理を融合させる新しい食文化を生み出し、食を通じた国際的なつながりを育みます。