くらし [巻頭特集]国際交流2.0への発展(4)

■水素社会の実現に向けて山梨県から世界に発信!
気候変動、エネルギー危機、大気汚染──。
いま、私たちの暮らしはさまざま課題に直面しています。
その中で、脱炭素社会の切り札として注目を集めているのが水素。
山梨県は日本を代表する水素先進地として、世界にも目を向けています。

◇世界が注目する「やまなしモデル」
2018年から再生可能エネルギーで水素を製造するパワー・ツー・ガス(P2G)システムの開発を始めた山梨県。21年6月にはこのシステムで製造したグリーン水素(※1)の本格的な供給を国内で初めてスタートさせました。山梨産水素は県内外のさまざまな場所で活用されています。
山梨県のグリーン水素に対する熱視線は海外からも向けられています。2024年から交流が始まったインドは、大気汚染問題が深刻化しているため、山梨県のP2Gシステムに高い関心を寄せています。ベトナムも、山梨県の技術者がクアンチ省を訪問し、意見交換をしています。その他、ブラジルのミナスジェライス州などともグリーン水素を巡る連携促進に向けて、活発なやりとりを続けています。
また、アメリカ・カリフォルニア州では、クリーンな水素の製造や利活用に取り組む団体「Renewables 100」(※2)や、世界最大のグリーン水素製造施設を持つ企業「SGH2」(※3)との間で協力関係の合意に至っており、世界各地で「やまなしモデル」の展開が期待されています。

◇富士山の麓から始まる未来
山梨県は2022年、富士山の麓に広がる富士五湖地域を、新たな時代に求められる自然首都圏へと発展させる協働組織体「富士五湖自然首都圏フォーラム」を立ち上げました。同フォーラムでは「グリーン水素による持続可能な経済の確立」「社会起業家との連携による先進的な行政の確立」「若い世代とアートによる活力のある社会の実現」という三つの軸で、海外の自治体・企業と国際プロジェクトを展開しています。
山梨県ではこの枠組みを単なる地方創生にとどまらない、新たな価値をつくる「社会実験をするフォーラム」と定義して、さまざま取り組みを行っています。「学生アート交流カリフォルニア州派遣事業」(3ページ)もその一例です。
2026年3月には、グリーン水素社会の実現を一層加速するため「富士ハイドロジェン・サミット2026」(国際水素サミット)の開催も予定しています。
国際水素サミットを開催するに当たって、山梨県は大きく分けて次の三つの目標を掲げています。
(1)グリーン水素エネルギーの利用促進によってカーボンニュートラルを実現する
(2)グリーン水素先進地である山梨県が、水素の社会実装に向けて国際的に議論する場を設けて水素革命をリードする
(3)具体的かつ未来志向のテーマをもとに、これまで以上に多様な国との交流を図る
当日は、世界の水素戦略を担う関係者が一堂に会し、最新の技術や知見を共有するほか、各国が水素社会の実現に向けて協働する「共同宣言」の発出に向けて準備を進めています。ブラジルからは「山梨県のグリーン水素の利活用事例をぜひシェアしてほしい」といった声も挙がっています。

県は、県民一人一人が主役になる「国際交流2.0」の新たな挑戦を始めています。グローバルプレーヤーとしての『山梨県』の未来に期待してください。

※1 再生可能エネルギーを使い、製造過程でCO2を一切出さずに造られた水素のこと。究極のクリーンエネルギーといわれています。
※2 Renewables 100 アメリカで水素エネルギーの普及を推進する官民合同組織「ARCHES」(再生可能クリーン水素エネルギーシステム連合)の中核組織。2007年設立。
※3 SGH2 カリフォルニア州ランカスター市と連携し、年3,800トンのグリーン水素を製造。

問い合わせ先:国際戦略・自然首都圏推進課
【電話】055-223-1435【FAX】055-223-1320