- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県
- 広報紙名 : 山梨県の広報誌ふれあい 特集号 秋 vol.86
■急成長するインドの活力を山梨に 人口300倍のUP州と連携! in India
世界で最も人口が多く、急速に成長を続ける国、インド。
世界中の企業が熱い視線を送るこの国と、山梨県は未来を見据えて連携を深めていきます。
▽インドの特徴
・世界最多の人口
・GDP急成長
・国全体の年齢が若い
・観光資源が豊富
◇若き超大国と山梨の未来がつながる
現在、インドは世界最多の人口を誇り、近い将来にはGDPで世界第3位になると予測されています。年齢中央値は28歳と生産年齢人口の割合が高く、中間所得層の急拡大も見込まれているなど、まさに〝若き超大国〟といえます。
山梨県とインドの交流は2024年12月、山梨県とウッタル・プラデーシュ州(UP州)との間で交わされた基本合意書から本格化しました。UP州の人口は山梨県の約300倍に相当する約2.4億人に達します。農業や観光資源が豊富で、世界遺産「タージ・マハル」や、仏教、ヒンドゥー教の聖地が点在する文化的にも深みのある地域です。世界遺産…。そうです、山梨県にも「富士山」がありますね。そこで、県はUP州と相互に誘客を促して、新たな観光客の獲得も狙っています。宗教聖地を巡る観光プランの展開や文化交流事業の実施などを通じて、県内からインドを訪れる人の流れを生み出すことにも取り組んでいて、インバウンドとアウトバウンドの双方の促進を図っています。
生産年齢人口の割合が高い一方で、現在インドは十分な雇用の受け皿が不足していることが課題です。そこで山梨県では、技能実習生や高度人材を受け入れ、地域の担い手不足解消にもつなげたいと考えています。
その他にも、大学間の交流プログラムの推進や、「ボリウッド」として名高いインド映画の県内へのロケ地誘致も支援しています。
山梨県の課題だけでなく、インドが抱えている問題についても積極的に解消していくことには、理由があります。協力関係を築くことで、山梨県が将来、信頼できる〝窓口〟として機能することを目指しているからです。
このエネルギッシュで巨大な国と山梨県が継続的に関わる鍵となるのが「インド版ゲートウェイ構想」です。
◇山梨県が「面的交流」のキープレイヤーに
この構想は、山梨県とインドの一対一の関係ではなく、他県も巻き込んだ「面的な交流」を行うものです。具体的には、山梨県がインドと日本を結ぶ「扉=ゲートウェイ」となり、他県や首都圏など、日本全国の自治体と連携しながら、より広域で柔軟な国際ネットワークを形成するというビジョンです。例として、他の自治体から「UP州に進出したい団体・企業がある」「UP州の人材に興味がある」と相談を受けたとき、山梨県が橋渡し役となり、UP州との多様なつながりを促進していきます。UP州側から要請があったときも同様です。
この構想を推し進めるべく、山梨県では今後さらに地方政府間協力を強化していきます。年内にはUP州のヨギ・アディティヤナート州首相が山梨県を訪れる予定です。この訪問を機に、人的・経済的なつながりが一層深まり、インドとの関係が新たな段階へ進むことが期待されます。
最近では民間交流も活発化しています。2025年8月には県内企業の経営者を中心に山梨県インド友好交流協会が設立され、シビ・ジョージ駐日インド大使もインド現地への進出や人材交流に期待するとの祝辞を述べました。

◇Interview
「山梨のグリーン水素は大きなステップ」シビ・ジョージ駐日インド大使も日印協力の強化に意欲
2025年8月、山梨県で開催された「インド経済セミナー」で、シビ・ジョージ駐日インド大使が基調講演を行いました。大使は講演後、ふれあい編集部の単独インタビューに応じました。
Q:基調講演で、大使は日印が連携してグリーン水素の利活用を促進していくために、UP州に「センター・オブ・エクセレンス(優秀な人材を集めた、イノベーション創出を目的とした組織=CoE)」の立ち上げを進めていると発表しました。どんな組織になるのでしょうか。
A:具体化はこれからですが、実現すれば、日本とインドが共同でCoEをつくった最初の事例となります。
Q:山梨には、優れた農産物やワインを生み出す技術などがあります。今後の人材交流を進めていくうえで、大使は山梨のどんな技術に興味がありますか。
A:やはり水素関連技術です。気候変動に対処するのは喫緊の課題。その手段として、グリーン水素は非常に大きなステップになると思います。
Q:山梨県民の皆さんにメッセージをお願いします。
A:実は、駐日インド大使に着任後、初めて訪れた地が山梨県で縁を感じます。山梨県には新しいアイデア、ポテンシャルが溢れています。今後、交流をさらに深めて行きましょう。
