文化 ふるさとの誇り213 ○(まる)博レポート

■発掘調査の「その後」fumotto南アルプス建設に伴う遺跡発掘調査レポート2
柔らかな日差しが降り注ぎ、春の訪れを感じる季節となりました。
令和7年4月11日(金)、fumotto南アルプス大型商業エリアにコストコホールセール南アルプス倉庫店がオープンします。山梨県内はもちろん、中部横断自動車道を利用して近県からも多くの人々が訪れ、南アルプス市での滞在を楽しまれることでしょう。
fumotto南アルプスの建設地には、寺部村附第10遺跡をはじめとする複数の遺跡が存在しており、建設に伴って発掘調査を実施しました。調査の成果などについては、これまで「ふるさとの誇り」でお伝えしてきましたが、今回は調査後に行っている整理作業の様子についてご紹介します。
発掘調査では、多くの遺物(土器や石器など)が出土しました。これらの遺物は、どの遺構(竪穴住居跡や溝、井戸など)から、また遺構内のどの位置から出土したのかを記録しながら取り上げます。他の遺物と混ざらないように、ラベルに記録をして保管します。

持ち帰った遺物はブラシを使い、丁寧に洗浄します。この際、遺物が使われていた時に付着したススやおこげ、墨で書かれた文字を洗い落とさないように注意し、土汚れだけを慎重に落としています。
洗浄が終了した遺物は乾燥させた後、「注記」という作業を行います。遺跡名や出土した遺構、取り上げ時の番号など、その遺物が持つ「住所」を記号化し、筆と水性インクを使って目立たない箇所に書き込みます。注記後には、その部分にニスを塗り、保護します。
洗浄・注記の作業が終わった遺物は、遺構ごとに保管ケースに収納し、今後行う接合・復元の作業まで保管されます。この際、どのケースに保管をしているか記録を取り、台帳を作成しています。今回ご紹介した整理作業は、集中力を必要とする繊細な作業ばかりで大変ですが、発掘で得られた成果をもとに地域の歴史を紐解くため、丁寧に作業を進めています。発掘調査で得られたデータや遺物は整理作業や研究・分析を行い発掘調査報告書としてまとめられます。5年後の刊行を目指し作業を進めています。
ふるさと文化伝承館では、洗浄・注記までを行い、整理作業がひと段落した遺物の一部を展示した速報展示コーナーを設置しています。ぜひ足を運んでみてください。
写真・文:文化財課

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