- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県北杜市
- 広報紙名 : 広報ほくと 令和7年3月号
■山高神代ザクラ 樹勢回復の経過
○山高神代ザクラのこれまで
武川町にある實相寺(じっそうじ)境内に所在する山高神代ザクラは、日本最古・最大級のエドヒガンの古木として大正11年に国の天然記念物第1号に指定されました(写真1)。
神代ザクラは昭和時代以降に樹勢が徐々に衰退し、さまざまな樹勢回復の措置を試みたものの期待した効果は得られずにいました。平成13年、抜本的な樹勢回復を目指して詳細調査を行った結果、神代ザクラは太い根がなく、細い根のほとんどがネコブセンチュウ病に浸食されていることが判明しました。センチュウが侵入した根はコブを形成し、栄養の吸収が阻害され、枝や幹に枯れや腐朽が生じてしまいます。神代ザクラの健全な根を再生し樹勢回復を図るため、平成14年度から17年度にかけて樹勢回復事業を実施しました。
○樹勢回復が功を奏す
樹勢回復事業では、樹木医主導のもと4年に渡る土壌の入れ替え、不定根(ふていこん)(胴部から伸びる根)の発根促進、根の保護のためサクラに隣接する道路の迂回工事などを行いました。同時期から、實相寺と神代桜保存会の協力を得て夏季の水やりや草刈り、冬季の根の養生など、細やかな日常管理も続けてきました。その結果、これらの樹勢回復の措置が功を奏し、令和2年の調査では不定根が定着したほか、中規模の根が増えたことが分かりました。地上部では新たな枝が伸びて一部では込み合うほどになり、現在は開花数も増えています(写真2、3)。
○今後の樹勢回復
神代ザクラは危機的状況から脱したものの、古い枝の腐朽やネコブセンチュウ病の再発など、依然として樹勢の衰退が心配される状況にあります。そこで、令和7年度に現状把握調査を実施し、その結果をもとに今後の措置について検討する予定です。
天然記念物は生体であるゆえに、外的要因による枝折れや病気などの危険性が高く、保存が難しい文化財です。そして、樹勢回復は一度の工事で終えるものではなく、木の状態を観察しながら長い時間をかけて進める必要があります。北杜市は「山高神代ザクラ樹勢回復検討委員会」を組織し、實相寺、地域住民、樹木の専門家、教育委員会が一体となって地域の宝である神代ザクラを保護すべく取り組んでいます。
※写真は本紙26ページをご覧ください。
問合せ:学術課
【電話】42・1375
【FAX】25・2019