- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県中央市
- 広報紙名 : 広報ちゅうおう 2025年3月号
◆骨粗しょう症骨密度検査
放射線技術部 診療放射線技師 相川良人
骨粗しょう症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。日本に約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化により、増加傾向にあります。体内の骨は同じように見えても、代謝と言って、新たに作られる(骨形成)と溶かして壊される(骨吸収)を繰り返しています。骨粗しょう症は、何らかの原因でバランスが崩れることでおこります。特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関係があると考えられています。
骨粗しょう症の症状は普段感じることはあまりありません。最近、背が低くなった、姿勢が前かがみになったなどは特徴の一つと言われております。この病気で一番問題となるのは、転倒などで骨折しやすくなることです。骨折しやすい部位は、背骨(脊椎の圧迫骨折)、手関節(橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折)、股関節(大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)骨折)などです。骨粗しょう症の診断は10.線(レントゲン)検査でも可能ですが、骨の量や成分(骨密度)を測定するためには、DEXA法(2重エネルギー10.線吸収法)、超音波法、MD法、CT法といった検査があります。山梨大学医学部附属病院では、DEXA法で行っております。DEXA法は、2種類のエネルギーのX線の減弱の差により正確に骨密度(骨の強度)を測定できます。検査部位は骨折すると生活に支障をきたす背骨と股関節を主に行っております。2022年に最新鋭の装置を導入しました。以前の装置より短時間で低侵襲(ていしんしゅう)に精度よく骨密度検査を行う事が可能です。
骨密度検査では、健康な若年成人(20歳~44歳)の平均値を100として、それに対して自分の骨量が何%にあたるかを見ていきます。基準の数値が80%以上で正常とされ、70%未満で骨粗しょう症と診断されます。70%~80%は骨量減少として、骨粗しょう症の予備軍になります。家族に骨粗しょう症の人がいる、軽微な力がかかることによる骨折の経験などがあれば骨粗しょう症と診断されることもあります。
自分の骨の状態は、自覚することができないため、気が付いた時には骨が弱くなっている場合があります。転倒し骨折が原因となって寝たきりになることもあるため、一定の年齢を超えた人や骨粗しょう症のリスク要因がある人は、定期的に骨密度を測定することが大切です。
みなさんの健康で快適な生活の一助となれば幸いです。
企画 一般財団法人 里仁会