健康 平野診療所だより

■QOLの維持・向上に大切な筋肉について
全身の筋肉は大小約400個あります。そのうちのQOL(QualityOfLife:生活の質)に大きく影響する筋肉は、立ったり歩いたり姿勢を維持したりといった日常の動作の基盤となる筋肉です。具体的には「膝を伸ばす働きをする太腿前の大腿四頭筋」「大腿を後方に振る働きをするお尻の大臀筋」「上体を支える腹筋群と背筋群」があげられます。これらの筋肉は重力に対して立位の姿勢を維持する働きをすることから『抗重力筋』もしくは『姿勢維持筋』と呼ばれます。

若年層の方が筋力不足によって日常生活に支障が出ること、QOLに影響を与えるということは、一般的にありません。ところが加齢に伴う筋力の低下の進行は深刻な問題であり、それによって日常生活に支障が出ることがあります。(図1)加齢に伴う筋肉の委縮を廃用性筋委縮症、英語でサルコペニアといい、サルコペニアがQOLにいかに大きな影響を与えているかがよくわかると思います。サルコペニアは運動によって防ぐことができます。

日常の身体活動を支える、QOLに直結した筋肉ほど実は加齢の影響で衰えやすい筋肉でもあります。これらの加齢の影響を受けやすい筋肉をしっかりと鍛えることがQOLの維持・向上に大切です。例えば立ち上がる動作で主要な働きをする太腿前の大腿四頭筋の筋肉量の80歳代の平均値は、30歳代の平均値の半分程度であるという報告があります。筋力は筋肉量におよそ比例しますので、この報告から考えると30歳代のときに片足で立ちあがる筋力がなければ80歳代になったときに自力で立ち上がることが困難になる可能性が高いということになります。

筋肉は生活の質(QOL)の維持・向上に重要であり、かつ加齢によって衰えやすい筋肉を鍛える運動を継続的に行うことが勧められます。日々運動を行うことも重要ですが、何よりも日常の身体活動を活発にして元気よく過ごすこと、個別に筋肉を鍛えるだけでなく、それらの筋肉を日常からしっかりと使っていくことが大切です。


図1.日本人の筋肉量
出典:NHK「運動不足で減っていく筋肉を守る“ゆる筋活”」より

リンク先:NHK
『運動不足で減っていく筋肉を守る“ゆる筋活”』
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■3月の診療体制
※受付時間は、診療時間の30分前となります
※3月31日(月)は休診となります。

※土曜日診療(田邉医師)
内科、外科、小児科、小児外科
・3月1日(土)午前中
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