くらし 市長エッセー vol.40

■共にある、暮らしの中で
「昔は気温が30度を超えるなんて、わずか数日しかなかったのになぁ。」との嘆きにも似た声を、市内のあちこちで聞く。連日、30度を超える真夏日が続くから当然のことだ。真夏日を超える35度以上で「猛暑日」。気象庁が気象用語として正式に猛暑日を導入したのが2007年度からで、それまでは35度以上の日は、酷暑日や猛暑といった言葉で表現されていたようだから、いかに暑い日が増えてきたかを物語る出来事だろう。テレビやラジオのニュースでは連日、猛暑日への備えなどについて放送されている。天気予報での注意喚起だけでは、人命に関わるほどの暑さのリスクを十分に伝えきれないという、マスコミ側の放送事情の変化なのだろう。
ところで、この暑さにも関わらず、「熱さ」を求める若者たちが近年増えているそうだ。それはサウナ愛好者のことで、市民の中にも相当の「サウナー(サウナ愛好者)」がいるのではないかと思う。そんなサウナー共通の「ととのう」という言葉がある。熱いサウナで汗をかき、冷水で体を冷やしてまたサウナへ。これを繰り返すことで心身ともにリフレッシュする、その状態や心境を「ととのう」というようだ。私はといえばサウナーを自負するには至らないが、かつてはスキー選手として訪問したフィンランドで、よくサウナに入った。フィンランドはほとんどの家庭にサウナが設置されているし、宿泊施設には必ずあった。サウナの室温は80度から100度で、サウナストーブの上にある石に、たくさん水を掛けて、その蒸気で汗を出す。サウナの外に出れば、気温はマイナス20度で、夜はオーロラが見えたりもした。熱いサウナで過ごしてから、外へ出る。それを繰り返して、よく「ととのった」ものだ。蒸気に熱せられた体で、積もった冷たい雪の中へ飛び込んだことは今でも忘れられない。
さて、気温が30度を超えるような日は、サウナではないが、外へ出れば汗が吹き出る。「適度な冷房の利用を」とニュースでも伝えている。とにかく体調管理が大事な季節。皆さんなりに「ととのう」方法を見つけて、健康に過ごしてほしいと思う。