くらし ~よりよい伊那市のために~令和6年度 決算審査報告

監査委員は、令和6年度決算について「計上されている計数に誤りはないか」「財政運営は健全であるか」「予算執行は適正になされているか」などの観点で、決算審査及び健全化判断比率などの審査を行い、決算審査意見書を市長へ提出しましたので、概要についてお知らせします。
※意見書は市公式ホームページに掲載しています。

■決算審査の結果
一般会計・特別会計決算書、附属書類の計数を関係諸帳簿その他証書類と照合した結果、誤りは認められず、また、予算はおおむね適正に執行されていました。主な意見は次のとおりです。

◇財政状況について
財政健全化プログラムの着実な実施などより、各財政指標は健全な状態を維持しています。
令和6年度の一般税調定額は前年度と比較して減少しました。これは市民税における定額減税の実施と復興特別税の終了が主な要因です。
また、昨今の不安定な世界情勢、円安傾向、物価高騰、人口減少や様々なものに係る経費上昇など、今後の財源確保についての見通しは非常に不透明です。
市債残高は、前年度と比較して約22億円削減できましたが、公営企業会計を含め537億円余です。
今後も福祉、農林業、新産業技術の活用、教育、幹線道路網の整備、公共施設の長寿命化など、多くの事業を控えています。さらなる財政健全化を進め、公平性や効果などを担保しつつ、「誰ひとり取り残さない持続可能な未来都市」伊那市の実現に向け、適正な財政運営に努めてください。

◇収入確保・未収金解消について
令和6年度の未収金残高は1億3,190万円で、前年度より減少しました。
一般税は総額692万円の不納欠損処分を行っていますが、いずれも適法に処理されていました。引き続き、公平な負担と安定した財源確保のため、第6次徴収対策プログラムの着実な実行により、未収金の縮減に努めてください。

◇予算編成・執行について
実質収支比率は4.3%となり、予算管理はおおむね適正に行われたと認められます。
契約事務、予算執行事務及び補助金交付事務はおおむね適正に処理されていましたが、事務処理上一部に改善を要する事項が認められました。
一層、関係法令等に基づく的確な事務処理に努めてください。

◇特別会計について
未収金は昨年度と比較して、国民健康保険税、介護保険料は減少、後期高齢者保険料は増加しました。引き続き、未収金の縮減に取り組み、また、不納欠損については、公平性確保の観点から厳正を期するよう努めてください。
国民健康保険直営診療所特別会計では、受診者数は増加しました。地域に根差した医療機関として、今後の人口減少や高齢化にともなう地域社会の変化を踏まえた医療体制のあり方について検討してください。
公有財産管理活用事業特別会計では、引き続き、未活用の公有地の売却を進めるとともに、必要に応じて新たな公有地の取得を行うなど管理活用を図ってください。
藤沢、北原、長藤の各財産区特別会計では、各財産区管理会の適正な運営により、今後も森林の保全・育成に努めてください。

■一般会計の概要
一般会計は歳入総額398億6,619万円、歳出総額384億8,893万円の決算額となり、歳入歳出差引額から翌年度への繰越し財源を除いた実質収支額は9億3,565万円でした。

■特別会計の概要
9つの特別会計は、黒字または歳入歳出過不足なしでした。

■公営企業会計の審査結果
◇水道事業
伊那市水道事業経営戦略の着実な進行管理により、10年連続で黒字を確保するなど経営努力を評価します。
人口減少や節水など水需要の減少による収益の減少など厳しい経営状況にありますが、事業の見直し等による経費節減を行う中で、創意工夫により更なる経営の効率化を進め、安全、安心、快適で災害に強い水道事業の実現に努めてください。

◇下水道事業
伊那市下水道事業経営戦略の着実な進行管理により、10年連続で黒字を確保するなど経営努力を評価します。
しかし企業債の償還は令和4年度にピークは過ぎたものの、令和10年度までは毎年約25億円が必要となるため、事業費の圧縮、水洗化率の向上など収入確保を進め、創意工夫により持続可能な事業経営に努めてください。

◇自動車運送事業
令和6年度は大きな災害に見舞われることなく安定した運行を行いました。また、分杭峠に向かう路線も新設され、利用者が増加しました。
今後も道路パトロールや車両点検を実施し、一層の安全運転に心掛け、開業以来の無事故運転を継続するとともに、経営の効率化と利用者の満足度向上に努めてください。

■財政健全化法による審査
実質公債費比率は7.2%、将来負担比率は平成28年度以降「数値なし」で、国の示した早期健全化基準を下回っています。しかし、実質公債費比率においては長野県内19市の平均と比べると高い水準にあるので、引き続き財政の健全化に努めてください。

問合せ:監査委員事務局