くらし 第40回 白馬村の農林業(クマ・サル対策)

全国的に野生鳥獣による被害が報道されています。当村でも、クマ・サルの目撃情報が増加傾向です。人口減少や森林の手入れ不足、耕作放棄地増加、温暖化、ドングリ不作等の複数要因が考えられます。
クマ・サル対策の取り組み状況をお知らせします。

1.クマ
(1)防災無線等による周知
クマ目撃情報が寄せられた場合は、防災はくば(無線)、白馬村防災ナビ(アプリ)、白馬村公式LINE、メール、フェイスブック等でお知らせしています。内容は、日時、地区、おおよその出没場所です。目撃情報が早朝や夜の場合、防災無線は控える場合があります。白馬村公式LINEでは、クマ出没マップを随時更新しています。

(2)パトロール、追い払い
周知後、鳥獣被害対策実施隊(猟友会、農政課)、警察によるパトロールや追い払いを実施しています。

(3)捕獲
野生鳥獣の捕獲は原則として禁止されておりクマも対象です。捕獲は県知事の許可が必要なため、出没状況により、都度、知事へ申請しています。
現場の状況により、住民の安全確保のため、緊急捕獲、(知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例)、警察官職務執行法、緊急避難(刑法第37条第1項)等を根拠にした捕獲が行われることもあります。

(4)白馬村クマゾーニング管理実施計画
クマと人の緊張感ある共存関係を構築するために策定しました。計画開始日は令和7年6月20日です。土地利用状況から4つの地域区分設定を行いゾーニング管理に取り組み、計画に基づき環境整備を進めています。

◆市街地緊急銃猟制度(令和7年9月1日施行)
【1】概要
近年、全国的にクマ等による人の生活圏への出没が続いており、人身被害も発生しているため、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」が改正され、市街地緊急銃猟が制度化されました。クマ等が市街地等の人の生活圏に侵入し、人身被害の恐れがある場合に、市町村長の判断で安全を確保したうえで、銃による捕獲が“法令上”可能となりました。
実行に際しては、緊急銃猟ガイドライン(環境省作成)に基づく厳格な運用が必要になります。

【2】注意点
(1)4つの条件全てを満たした場合に緊急銃猟が可能。
〔1〕人の日常生活圏への侵入
〔2〕人への危害を防止する措置が緊急に必要
〔3〕銃猟以外の方法では困難
〔4〕銃猟によって人の生命身体に危害が及ぶおそれがない

(2)実施者の要件
過去3年以内に、緊急銃猟に使用する銃器と同種の銃器を使用して、クマ等の大型獣の捕獲を行った経験を有する者。

(3)備品の確保
ヘルメット、盾、クマ撃退スプレー、プロテクター、無線機、市町村名のベスト、腕章が必要。

【3】現地訓練(勉強会)
9月30日に関係者(村、県、警察、猟友会)によりクマの目撃現場において、現地訓練(勉強会)を実施しました。制度の理解、住民の安全確保のために定期的に開催することを確認しました。

2.サル
(1)GPSによる追跡
サルの群れにGPSを装着し、行動を追跡しています。現在、3群に装着していますが、推定で7群程度あることが解ってきました。群れの行動は、白馬村公式LINEでお知らせしています。

(2)追い払い
サルを人里に近づけないためには、住民の協力が不可欠です。村では、追い払い用ロケット花火や爆竹を配布していますが、最近、音では逃げなくなってきました。このためパチンコ等による追い払いを研究しています。

(3)捕獲
クマと同様、県知事の許可が必要になります。許可申請は年1回になります。サル対策は大町市が先進的に取り組んでいることから6月18日に市職員を講師に招き、研修会を実施しました。以前はモンキードックによる追い払いをしていましたが、費用や犬の高齢化、トレーニング期間等の課題があり、近年は、数名の専任職員を配置し、大型檻による捕獲をしているとのことでした。当村は市のアドバイスを参考に大型檻を設置していますが、設置場所の選定等で地権者や地区の協力が必要になります。捕獲には、経験と技術を要しますが、農作物被害の軽減、平穏な生活のため取り組みを進めていきます。

お問合せ:白馬村役場 農政課
【電話】0261-85-0766