その他 〈新春対談〉熱海駅と熱海市の共生共栄~100年の歩みと未来への展望~(2)

◆熱海駅の役割と地域とのつながり
市長:熱海駅は、この地域の情報発信基地だと思っています。特に新しい駅ビル「ラスカ熱海」ができてから、観光客に向けたさまざまな情報が発信されるようになりました。
荒屋駅長:そうですね。駅社員たちは手書きのボードを作成し、地域の魅力を伝えています。
市長:駅は人を運ぶだけでなく、地域経済の活性化にも貢献しています。観光客だけでなく、地域の生活にも寄与していますね。
荒屋駅長:駅と地域が協力し合うことは、熱海の特徴ですね。
例えば、こがし祭り山車コンクールでは、駅所在地の町内会に駅社員が参加したり、子どもたちの職業体験を通じて、学校や地域の皆さまとのつながりを大切にしています。これらの活動が、私たち駅社員のやりがいにもつながっています。
市長:また当初、ラスカ熱海という駅ビルの改築が地域経済にどう影響するのか大変懸念されていましたが、結果的にお互いの客層を補完し合う形になりました。実際、商店街からも、駅のお客さんが増えたことで、商店にも良い影響があると言われています。今では観光客数が増え、経済効果も上がっていて、地域全体で良い関係を築けているのはとても理想的ですね。
荒屋駅長:若い世代のお客さまが多く訪れてくれることで、駅の存在が地域の活性化につながっていることを実感しています。加えて、防災の観点から台風などで運休の可能性があるときは、早めの情報提供を心掛けています。地域の皆さまとも密に連絡を取り合い、観光客と地域の皆さまの生活が共生するよう努めています。
市長:市民と観光客、別荘所有者などとの共生共栄の関係が、今後も良好に続いていくことを願っています。

◆100周年記念企画と未来へのビジョン
市長:さて、熱海駅が2025年3月25日に開業100周年を迎えますね。これからどのようなイベントを計画していますか?
荒屋駅長:JR東日本では、100周年を祝うためにさまざまな企画を考えています。3月25日には駅前で開業100周年記念イベントの実施など、地域の皆さまや観光客に楽しんでもらえるイベントを計画しているところです。
市長:それは楽しみですね。
荒屋駅長:例えば、開業100周年までの間、熱海市内の団体や企業と協力し、SNSでカウントダウンフォトを発信しながら、熱海の魅力を広める計画が進行中です。
市長:過去の歴史を振り返るような展示や、当時を知る方々へのインタビューなども良いですね。100歳以上の方に当時の話を聞くことで、熱海駅の歴史を感じられる企画になるかもしれませんね。
荒屋駅長:歴史を知ることで、若い世代にも熱海の魅力を伝えることができると思います。
市長:100周年に向けたイベントは市民にとっても特別な意味を持ちますね。ぜひ、歴史を未来につなげていきましょう。
この機会に一つ提案を考えてきました。駅の利便性を高める施策の中で、子育て支援として「預かり所」の設置などはいかがでしょうか?
荒屋駅長:そうですね。地域の皆さまにも、駅を活用してもらえるような取り組みを検討していきたいと思います。
市長:また、市が力を入れているビジネス利用の促進も重要です。
荒屋駅長:例えば、会議などの会場となり団体で熱海駅を利用してもらうことになった場合には、スムーズに駅の案内ができるように想定しておくといったことが必要になりそうですね。
市長:そうですね。それでは改めて、熱海駅の未来に向けての展望として、どのような形で進化させていきますか?
荒屋駅長:私たちは「BeyondStations(ビヨンドステーション)」というコンセプトで、駅をより便利で使いやすい場所にしていこうとしています。駅の機能を拡充し、地域の皆さまや観光客に愛される場所にすることが目標です。熱海駅は100周年が一区切りではなく、これからの100年に向けたスタート地点だと思っています。今後もお客さまからのご意見もいただきながら、駅の進化を続けていきます。
市長:私たちも協力して、魅力的な熱海駅を作っていきましょう。そして、100周年を機に熱海のさらなる発展を目指していきます。
荒屋駅長:はい。熱海駅が地域の皆さまに愛され、訪れる全ての人にとって心地よい場所となるように、日々努力を重ねていきます。
市長:未来の熱海駅に期待しています。ともに、素晴らしい100周年を迎えましょう。本日はありがとうございました。

◆荒屋 祐佳利(あらや ゆかり)さん
JR東日本 熱海駅駅長
平成4年東日本旅客鉄道株式会社入社。
旅行業、総務部人事課、乗務員職場の管理者などを経て、令和5年6月に熱海駅第44代駅長に就任。
好きな車両はE655系なごみ。