健康 【特集】未来の私のために、大切な人のために がん検診受けていますか?(1)

日本のがんによる死亡者数は年間38万人を超え、死亡原因の1位となっています。更に、日本人が一生のうちにがんと診断されるのは、2人に1人とも言われています。
(2020年国立研究開発法人国立がん研究センター調べ)
しかし、医療の進歩により、早期に発見して、治療をすることでその多くが治ります。
検診は自覚症状がない時点で行われることから、がんが進行していない状態で発見することができます。一方、症状を感じて受診した場合には、がんが進行している可能性があります。定期的に検診を受け、がんを早期に発見し治療できれば、がんによる死亡を減らすことができます。
国はがんの早期発見・早期治療のため、がん検診の受診率60%以上、精密検査受診率90%以上の達成を目標にしていますが、国・愛知県・岡崎市の受診率は、目標に達していない状況となっています。
未来のために自分の健康のために、大切な人のために、がん検診を受診しましょう。

■がん検診受診率と精密検査受診率(国・愛知県との比較)

▽がん検診受診率
国・県:2022国民生活基礎調査
岡崎市:健康おかざき21計画(第3次)

▽精密検査受診率
国:地域保健・健康増進事業報告
県:愛知県令和5年度がん検診の実施状況
岡崎市:令和6年度保健所事業概要

■岡崎市死因別死亡割合
岡崎市保健所 令和5年 岡崎市人口動態統計報告書

■がんと診断されてから5年後の生存率
出典:公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計2022」

■メッセージ 未来の自分の健康、そして家族の安心を守るために。
▽検診によって未然に防ぐ
「仕事や子育てで忙しく、がんは自分に関係ない」「検診でがんと診断されるのが怖い」「症状がないから大丈夫」―こうした声は、若い世代によく見られます。
しかし、事実として20〜30代でもがんは発症します。例えば、女性の子宮頸(けい)がんは20代後半から罹患(りかん)率が上昇し、30代でピークを迎えます。一方で、早期に発見すれば5年生存率は90%以上。検診によって未然に防げる〝予防可能ながん〞の代表です。

▽怖いのは「見つけること」ではなく、「見逃して進行すること」
検診が怖いという不安は自然なことですが、実は怖いのは「見つけること」ではなく、「見逃して進行すること」。行動経済学では、「今の不安や面倒な気持ち」を、将来のリスクよりも大きく感じる傾向があるとされています。がん検診のお知らせは、検診を後回しにしてしまうこれらの〝気持ちのクセ〞の影響を少しでも減らし、受診を後押しするための大切なきっかけです。

▽体からの〝サイン〞を見逃さない
また、「症状がないから大丈夫」と思うのは、正常性バイアス(自分だけは大丈夫という思い込み)が働いているためです。がんの多くは初期に症状が現れません。精密検査を勧められたなら、それはまだ気づいていない体からの〝サイン〞かもしれません。
小さな行動の積み重ねが、未来に大きな意味を持ちます。
「忙しい」「怖い」「面倒」―その気持ちに共感しながら、今こそ〝自分の体と向き合う〞一歩を踏み出してみませんか?

愛知医科大学医学部 衛生学講座教授(医師)
岡崎市生活習慣病対策会議委員
鈴木 孝太氏

問合せ:健康増進課
【電話】23-6639【FAX】23-5071