文化 【特集】未来へ繋ぐ想い 設楽原をまもる人たち(2)

■活動の輪が広がる
全国で少子高齢化が進んでいますが、「設楽原をまもる会」にもその波が襲いかかっています。メンバーの多くは70歳以上で、力のいる作業をやり続けるのに不安を感じるようになったそうです。その様な中、期待を寄せるのが地域外のサポートです。
以前、草刈り作業に参加した人がその体験をSNSで発信したところ、関心を持った人が現れ、参加を希望する声が寄せられたそうです。現在では活動の前にはSNSで作業告知をし、県内外から歴史好きな方などが参加しています。参加した方々は、次回もぜひ参加したいと意気込むほど、貴重な体験となっています。
地域外から訪れた方がこうやって参加し、その方がSNSなどでさらに発信していくことで、活動の輪がさらに広がっていきます。
少子高齢化や人口減少が進んでいる中で、一つの可能性が出てきました。活動を続けていくためにも、この交流の輪が広がり続けることを期待されていました。

■設楽原決戦場まつり
しんしろ戦国絵巻三部作の一角を担う設楽原決戦場まつり。「設楽原をまもる会」結成から10年の歳月を要し、平成2年に第1回が開催されました。
決戦場まつりは、直接関わる関係者の他に当然ながら、「観たい人」「行ってみようかなと感じている人」「協力する人」など様々な方々がいて成立します。全ての人が納得できるよう、当時、議論をしながら準備を進めていきました。今となってはまつりの風物詩となった、火縄銃演武もここからスタートしたのです。
その想いは多くの方に伝わり、地域や地元小中学校に協力をお願いしたことにより、回を重ね、ここまで続けられました。「設楽原決戦場まつり」が盛大になるにつれて駐車場問題も出てきましたが、近くの新東工業さんが駐車場の協力をしてくれ、その問題も解決できました。

■コロナ禍を乗り越え
世界的に猛威を振るった新型コロナウイルスは、「設楽原をまもる会」にも大きな影響を与えました。
毎年開催していた「設楽原決戦場まつり」の開催も一時期はできませんでした。また、活動自体も自粛をせざるを得ませんでした。コロナ禍から解放され、活動を再開するにもいろいろと状況は変わってしまいました。
しかし、時代に逆らうのではなく、時代に合わせた形で進めていく大切さに気付かされたとのことです。今までの歩みを振り返り、何が大切なのか再認識する機会になったそうです。背伸びしても長続きしない、会の発足当時の「皆でまもり続ける」ことを再認識しました。さらに、現在の会員の多くは70歳を超えていますが、無理に働き盛りの現役世代にお願いすることはしないとのことで、「できる人が、できる時に、できる事をすればよい」という思いで活動しています。その位に思っている方がお互いに気が楽で、これが結果的に長続きできる秘訣のようです。現役世代は、仕事に子育てに色々忙しい。少し手が空いたり、退職した後に一緒にやってくれれば有難いとのことです。

■想いは受け継がれる
「設楽原をまもる会」の活動や想いは、地域の人々に深く広がっています。東郷地区の小中学校における「総合的な学習の時間」を利用した歴史学習、運動会での表現運動や学習発表会での歴史劇など、学校教育の活動にも深く取り入れられています。東郷地区で育ち、成人した人たちにとって、「長篠・設楽原の戦い」に関連した活動の思い出は、一生忘れられないものとなっているようです。
設楽原を中心とする各地には、「設楽原古戦場いろはかるた」の看板が立てられています。その看板からその地を訪れた人が、戦いのポイントとなる史実や戦いに参戦した人物を感じ取ってもらえるのです。また版画を基に作られた「設楽原古戦場いろはかるた」を使って、小中学校では、かるた大会を開いていることもあります。こうやって「長篠・設楽原の戦い」が生活の中に溶け込んでいるのです。

■歴史を刻み、未来へ繋ぐ
今年は「長篠・設楽原の戦い」から450年の節目です。450年は途方もなく長い年月です。450年前の戦いを私たちがイメージできるのは「設楽原をまもる会」が行っている地道な活動があったからです。映画「影武者」が一つのきっかけだったかもしれませんが、復元するパワーは並々ならぬものです。
「設楽原をまもる会」は時代に合わせ、柔軟に活動をされています。一歩一歩着実に前に進み、歴史を刻み続けています。この地を訪れる大勢の方に来て良かったと感じてもらえるように、これからも「設楽原をまもる会」の方々は活動を進めて行かれるのでしょう。

■編集後記
皆さんのお話で「できる人が、できる時に、できる事をやれば良い。仲間つくりが大切」が心に残りました。歴史を守り繋げていく。とても大変なことで、ご苦労されたことでしょう。
私も馬防柵の作業に参加させていただきました。力仕事で大変な作業ですが、時間が過ぎることも忘れるくらいに楽しい時間でした。終わった時には疲れた顔ではなく、笑顔で終われたのも、皆さんの「力」だと感じました。「縁の下の力持ち」そんな存在の皆さんでした。
私たちも「できる時に」新城の大切な歴史を守っていく、その様な活動の輪が広がっていくとよいと感じました。

この記事は市民編集委員が取材・編集しました

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