スポーツ 夢キラリ人

■マットの上で取る、感謝のメダル
梅川紅果(もなか)さん

桃陵高等学校(以下「桃陵高校」)ヒューマンケア科1年生の梅川紅果さん。レスリング53kg級で、桃陵高校代表として県大会・東海大会を勝ち抜き、7月のインターハイに出場しました。大会では惜しくも初戦で敗退となりましたが、そのまなざしは未来をまっすぐ見据えています。
小学生の頃、泣いて帰ることが多かったという梅川さん。強くなりたいと家族で三重県に移り、レスリング教室の門を叩きます。つらい練習を重ねても結果が出せず、緊張のあまりマット上で足が出なくなったときのことです。コーチが「マットに上がったら小さなごみを見つけてごらん」と声を掛けたと言います。意識を自分に向け緊張がほぐれると、練習通りの動きができ、続々と勝利を手にするように。次第に練習に向き合う姿勢も変わり、2024年には世界大会に出場し、40kg級で5位を獲得します。
中学校卒業とともに名古屋市に戻り「介護の専門知識を学びたい」と桃陵高校に進学し、同高校の部員として、至学館大学レスリング部で練習を重ねています。「昨年までの教室は、コーチが自分を追い込んで強くしてくれましたが、これからは、自分自身で追い込み、全力で練習しないと強くなれない」と今後の選手としての心構えを、真剣なまなざしで語ります。平日は朝5時半から至学館大学での早朝練習。高校で授業を受け、放課後再び大学の練習場に向かうという多忙な毎日ですが、どちらも手を抜きません。早朝の送迎など、家族の協力のおかげで続けられていると話します。また、練習環境に対しても「他校の生徒である自分を引き受けてくれた」と、感謝の気持ちが言葉の端々ににじみます。練習で組む選手、分け隔てなく声を掛け指導してくれるコーチ陣などに、あいさつを大切にして練習に臨んでいます。
インターハイ出場を経験して、「出場までは運もある。でも、メダルを取るのは実力だと実感した」と話します。悩み、突破し、冷静に自分を見つめる梅川さん。大好きなレスリングを続け、「オリンピックで金メダルを取る」と笑顔を見せる、期待の星です。