くらし とよあけの自然

◆貴重なコケがあります!
湿った場所で生育するミズゴケ、イチョウウキゴケ

第33回湿地サミットin豊明が2026年8月21日に予定されています。湿地とは湿地特有の動植物を育み、多様な動植物の生息・生育の場となっており、生物多様性の保全の上で極めて貴重な生態系です。豊明では、蘚苔類(せんたいるい)でも重要な種類が記録されています。大狭間(おおはざま)湿地には、蘚類のオオミズゴケとイボミズゴケがあります。形態がよく似ていますが、確実な同定には顕微鏡的観察が必要になります。オオミズゴケは、他のミズゴケ属の種と同様に葉の貯水性が高いため、園芸用として利用され乱獲されることも多く、また土地開発や水質汚濁などもあって個体数は急速に減少しています。そのため、オオミズゴケを含めた湿地全体の保護に留意することが求められています。苔類のイチョウウキゴケはウキクサなどに混ざって池や水田の水面に浮遊して生育します。葉状体はイチョウのような形をとり、表面には浅い溝があり、葉状体の長さは10mm、幅は5mmほどであります。葉状体の内部には気室があり、水面に浮遊できるようになっています。日本では、水質汚濁や農薬の使用によって個体数が減少しています。
そのため一時は環境省のレッドデータブックで絶滅危惧(ぜつめつきぐ)I類に指定されましたが、2007年度版のレッドリストでは準絶滅危惧とされました。
豊明では大狭間湿地の自生保護地内には、湿った環境に生育しているチャボホラゴケモドキ、ツクシウロコゴケ、ホソバミズゼニゴケなど、小廻間(こはざま)湿地にはトサカゴケ、オオホウキゴケなどが見られます。

豊明市史(自然)編集員 小笠原 昇一