- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県豊明市
- 広報紙名 : 広報とよあけ 令和7年10月1日号
秋分を越え、やっと過ごしやすい気候になってまいりました。振り返れば、今年の夏は早くから高温高湿度の日々が始まり、お庭での花のお手入れも大変でしたね。「本当、私の家では鉢植のほとんどが葉焼けしちゃって、木姿を整えるのに苦労してます。元気なのは雑草のセイタカアワダチソウだけですよ!」苦労されてますね〜、お疲れ様です。
セイタカアワダチソウの名が登場しましたが、セイタカアワダチソウはキク科アキノキリンソウ属に分類される種(しゅ)で、北アメリカ原産の多年草です。日本への渡来ははっきりしていませんが、『牧野日本植物図鑑』のセイタカアワダチソウの項には「昭和の初めには既に帰化が知られている」とあることから、この頃には日本に入り、以降旺盛な繁殖力を持って日本中に広がったようです。セイタカアワダチソウは根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を出し、自分だけ成長するという、真に恐ろしい機能を備えています。「何!それじゃあ、そのうち日本中がセイタカアワダチソウで覆われちゃうんじゃないの?」そうなんです。その懸念から昭和の末から駆除する指導がされ、平成16年には要注意外来生物に指定されています。しかし、近年の研究では、自らが出す有害物質がセイタカアワダチソウ自身の種子の発芽を抑制し、繁殖力が低下しているようで、日本在来のススキやオギがセイタカアワダチソウに奪われた生息地を奪還しているケースも見られるようです。「それは良い傾向ですね」ええ、是非とも日本古来の生態系に近づいてもらいたいものです。
ところで、セイタカアワダチソウの英名はSolidago altissima(ソリダゴ アルティッシマ)です。「ソリダゴ?ソリダゴって、よく切花の束に入ってるやつじゃないの?」はい、そのソリダゴです。ただし、お店で売っているのは園芸種として改良したものですけどね。一説には、もともと日本へは観賞用の草花として渡来したとの説もあります。「観賞用で渡って来たものがこんなにも日本の生態系を変えてしまうなんて、怖いですわね〜」そうですね。とくに日本は島国のため、長い間海外の植物と交じり合うことなく生態系が維持された分、強力な外来種に侵入されると、短期間に生態系が変化しやすいようですね。
毎回お花を楽しんでいただく視点でお話してきましたが、セイタカアワダチソウばかりは敵役(かたきやく)。どうぞその駆除にお時間を割いていただければ幸いでございます。
執筆/愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦