文化 〔連載コーナー〕歴史探訪クラブ 其の250

■渥美半島の風景に魅せられた永井(ながい)繁男(しげお)
渥美半島は温暖な気候で、豊かな漁場と農業生産地に恵まれ、そして海と山に囲まれた美しい景観が広がっています。この渥美半島の自然や風景に魅せられて、画題として描いた画家は少なくありません。
永井(ながい)繁男(しげお)(1927~2018)も渥美半島の風景に魅せられた画家でした。豊橋市で生まれた永井は、豊橋市立商業学校を卒業後、2年間従軍。復員後の昭和25(1950)年に日本画家の中村(なかむら)岳陵(がくりょう)が主宰する画塾「蒼野社(そうやしゃ)」で絵を学びます。蒼野社は日展を目指す若い画家たちが入門しており、永井は入門した年に日展で入選を果しています。
昭和35年、蒼野社を脱退し、我妻(あづま)碧宇(へきう)や森(もり)緑翠(りょくすい)らとともに白はくしかい士会を結成します。以後、白士会展を中心に作品を出品し、東京や名古屋などでも個展を開催しました。永井の後半生の作品は新印象派のような点描(点の集合や短いタッチで表現する技法)を用いて、明るい色彩で描かれることが多いです。
田原市博物館では、昨年度に永井の作品7点の寄贈を受け、博物館として初めて所蔵することができました。寄贈された作品は、表浜海岸、キャベツ畑、和地での凧揚げ教室などを題材とした、いずれも渥美半島の風景を描いています。これらの作品は6月7日(土)から7月27日(日)まで開催する「渥美半島を描く」展でお披露目しますので、ぜひご覧ください。
(学芸員 三宅良宜)

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