しごと 【特集】世界で認められる四日市市の技術力と挑戦(2)

■四日市市から世界へ
世界市場で存在感を示している本市の企業の成功事例や、新たな挑戦を続ける企業を紹介します。

〔伊藤工機株式会社〕
会社概要:
本社…三ツ谷町14-20
創業…1951年
代表取締役社長…寺村輝行
他事業所…安曇野事業所
関連会社…シンガポール
従業員…26人

1951年に創業し、地域の産業を支える企業として成長を遂げてきました。当社が開発したIHを利用した大型調理機は、調理能力・機能・価格などが高く評価され、東南アジアでは、ケータリングや機内食の調理に活用されています。

▽23年前の革新的な開発の背景
四日市市のコンビナートを主な取引先としたメンテナンス会社として創業したため、食品製造の経験がない中、以前から取り引きのあった大手コンビニに求められ「手作り風のチャーハンを作る機械」に挑戦しました。
2年間の試行錯誤の末、IHによる高温加熱を用い、鍋を回転させ、専用の撹拌(かくはん)羽根で具材をあおる新機構を開発しました。従来の食品調理機械の概念にとらわれない革新により、具材が均一に加熱され、理想的な「パラパラ感」を実現しました。

▽社員の情熱と未来への挑戦
当社では、企画から納品まですべての工程に社員が関与し、心を込めてものづくりに取り組み、さまざまな国でおいしい食を提供しています。今後も新たな市場や業界への挑戦を続け、世界へ展開することを目指します。

〔三鈴工機株式会社〕
会社概要:
本社…楠町北五味塚530
創業…1946年
代表取締役社長…打田卓也
支店など…東京事業所、大阪支店
従業員…130人

1946年に三鈴鉄工所として創業し、来年で80周年を迎えます。コンベヤメーカーとしてスタートし、1960年代から食品加工機械の開発に注力してきました。

▽コンベヤシステムを中心とした総合エンジニアリング能力
特に製菓・製パン機械は、国内外で高く評価されています。1971年に米国の世界的製パン機械メーカーBaker(ベーカー)Perkins(パーキンス)社と技術提携し、業界に先駆けて国産化した機器が日本の大手製パン会社に導入されるなど、数々の挑戦を経て成長してきました。当社の強みは、装置の設計から稼働まで一貫してサポートできる総合エンジニアリング能力です。当社の製品を使う企業からは、メンテナンスの迅速さや安定した品質が評価されています。本号の表紙写真は焼成後のパンを冷却する装置で、パンが通過する距離は1kmにもなります。

▽四日市市のコンベヤが世界の食品産業をつなぐ
今後はアジア圏から欧米諸国への展開を進め、ニーズに応えるために技術革新を続けていきます。コンビニやスーパーで見かけるパンやお菓子の多くには、私たちの技術が使われています。ぜひ身近な製品に注目してみてください。

〔株式会社スエヒロEPM〕
会社概要:
本社…末広町2-4
創業…1953年
代表取締役社長…佐久間寿仁
支店…バンコク駐在員事務所
従業員…45人

地元四日市市の食用油メーカーの工務部が独立し、1953年に有限会社末広鉄工場として創業しました。国内で初めて植物油脂用大型搾油機を国産化し、搾油機で培った技術を基に開発したエクストルーダー(食品加工装置)の設計・製造を通じて、世界へ優れた技術を提供しています。搾油機の国内シェアは90%を超えています。

▽夢の多機能型食品加工機エクストルーダー
当社の強みは、圧搾機におけるスクリュープレス方式を駆使した高い効率性と耐久性です。得意とする大型搾油機や搾油の技術を基に開発したエクストルーダーは、幅広い複合機能を持ち、スナック菓子やペットフードなど、私たちの生活に欠かせない商品を生み出しています。

▽世界の安全な食文化を支える
最近では、アジア市場への進出にも力を入れていて、タイ国家食品研究所へのエクストルーダー寄贈や現地スタッフへの指導を通じて、国際的な交流も深めています。ものづくりを通じて地域の食文化を育み、国内外の人に安心して食を楽しんでいただけるように努めていきます。