子育て 特集 頼ってほしい 〜母子に寄り添う、みんなの思い〜(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県名張市
- 広報紙名 : 広報なばり 令和7年10月10日号
今年、伊賀地域の2つの診療所が、相次いで分娩の取り扱いを中止。「子どもを産み育てられるのか心配」といった不安の声が寄せられています。そうした中、市では、妊婦のアクセス支援など新たな取組も始めています。
今月は、お産を巡る現状や、母子を支援する制度や仕組み、そして、妊娠・出産・育児に寄り添う人たちの思いに迫ります。
◇頼ってほしくて、うずうず
「育児で不安なことは、すぐに相談するようにしています」そう話すのは、「妊婦・乳幼児健康相談」に毎月顔をみせる中谷尚子(なおこ)さん。初めて授かった颯志(そうし)ちゃんが生後1カ月頃から通っています。
「奈良県内の病院で出産しましたが、出産後の相談は、遠方で難しい。でも、近くに助産師や保健師、管理栄養士など頼れる専門職の皆さんがいてくれるので心強いですよね。みんなに育ててもらっている感じがして、どこで産んでも大丈夫なんだって思えます。息子は1歳5カ月になりますが、大好きな地元名張で安心して子育てできています」
中谷さんに寄り添う助産師の林みち子さんは、「育児に関する情報は雑誌やスマホで簡単に手に入りますが、アドバイス通りにいかず、疲れ切ってしまう母親も多い。頼れるところは、周りに頼ってほしい。頼られたくてうずうずしてる人も多いんですよ」と笑顔を見せます。
◇子どもに見せたい親の笑顔
林さんが、15年前から続けているのが、「お父ちゃん、お母ちゃん、笑ってて」と題した子育て講座。9月には、こども支援センターかがやきに集まったママやパパに語りかけました。
「子どもたちが何より望んでいるのは、笑ってるお父ちゃん、お母ちゃん。怒らないでいてほしいわけではありません。してほしいのは喜ぶ努力。大げさに喜んであげてほしいな。それに、『育児はこうしなければ』と頑張り過ぎないで。それよりも、もっと子どもを抱きしめてあげてほしいんです。私は、子どもが小さい頃に『もっと抱きしめておけばよかった』と思うことはあっても、『もっと手の込んだ料理を作ってあげればよかった』と後悔したことは一度もないよ」
◇ゆとりある育児を
講座の中で林さんは、育児を楽しむカギは、「助けて」と言えるかどうかだと強調します。
「育児はかけ算。人手が多い方がいい。『助けて』『手伝って』『話を聞いて』と声をかけて、みんなで楽しい育児をしましょうよ。まずは、自分で自分のことを大切にしてほしい。親の愛が満たされて、ようやく子どもに愛が注がれるんだから。笑えなくなったときは絶対に相談してよ」
「林さんの言葉に、すごく共感できた」と話すのは、3児の母の後藤紗野香さん。「家事や育児に追われ、最近はあまり笑顔でいられなかったかも。ホッと一息つきながら、子どもとの時間を大切にしたいな」とニコリ。
市には、お産を巡る厳しい状況に不安の声が寄せられています。そうした中、妊娠、出産、そして、育児にゆとりをもって笑顔で向き合っていただけるよう、専門職や地域の皆さんが一丸となって取り組んでいます。
■妊婦・乳幼児健康相談
専門職による身体計測、健康・栄養・歯科相談、沐浴体験(沐浴体験のみ要予約)
日時:毎月1回(水曜日)9:30~10:30に受付
※今年は10月22日、11月5日、12月3日
場所:保健センター
持ち物:母子健康手帳
問合せ:健康・子育て支援室
【電話】63-6970