- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県名張市
- 広報紙名 : 広報なばり 令和7年10月10日号
■お産をサポート
市内で唯一出産に対応してきた診療所の分娩中止を受けて、市では、2月から、妊婦のアクセス支援やオンライン相談といった、新たなサポートを始めています。
◇緊急時の搬送を迅速化
市は、出産予定日などを事前に登録いただく「妊婦情報事前登録制度」を2月にスタート。急を要する状態で、誰も頼る人がいない時には、登録情報をもとに救急車が迅速に搬送します。
また、救急隊員に対して、妊婦の搬送中に必要な知識と技術を高める研修を実施。助産師から分娩について学んだり、分娩介助や難産時の対応を確認したりしています。
「分娩への対応事案がほとんどない中、隊員がしっかり対応できるようにしておきたい」と、研修を企画した大山隊員。2児の母でもあり、「私自身、難産を経験したので、妊婦さんの不安をできるだけ和らげたいですし、大変な状況でも、生まれる瞬間は少しでも幸せを感じてもらいたい」と熱い思いを込めます。
登録者の一人で、7月に出産した白岩美菜さんは「いざという時は、救急車が迅速に運んでくれるという安心感があり、気持ちの面で助けられた」と思い返します。
そのほか、オンライン相談や、遠方出産に対する交通費・宿泊費補助などを通じて、出産への不安を少しでも軽減できるように取り組んでいます。
名張消防署 救急室
大山優(救急救命士)
▽妊婦情報事前登録制度
出産予定日などの事前登録で、迅速な救急搬送につなげます。
登録:
・かかりつけ医
・出産予定日 など
↓
迅速な搬送
▽始めてます!こんなサポート
・医師・助産師へのオンライン相談
妊娠から、子どもが1歳の誕生日を迎えるまでの間、医師とのビデオ通話や、助産師とのLINEメッセージチャットなど、自宅からオンラインで気軽に相談できる体制を整備しています。
・遠方出産の交通費・宿泊費補助
伊賀地域内での分娩が難しいなどの理由で遠方の施設で出産する場合、分娩時の移動にかかる往復の交通費と、出産までの間に待機するための宿泊費の一部を補助します。
■出産後のケア
産後は、慣れない育児に心身が最も不安定になる時期です。出産後の母親が安心して育児をスタートできるように、4月から、赤目保育所で出産後のケアを実施しています。
◇出産後のケアの大切さ
市では、従来の「宿泊型産後ケア(産科医療機関に委託)」に加え、4月から、赤目保育所内に「デイサービス型(市直営)」を新設。退院直後の親子をしっかりとサポートしています。
「なかなか休養をとれない人もいる中、ゆったりと過ごせる場を提供しています。産後の心身の不調や育児不安といった心理面のサポートが重要」と、事業を企画した助産師の寺嶋職員。
デイサービス型の産後ケア事業を利用するシングルマザーのAさんは、「夜泣きが続いたり、今後のことを悩んでしまったりして、ひどく睡眠不足になることも。ここではゆっくり休めますし、助産師さんと看護師さんに安心して子どもを預けられます。ミルクが足りているかなど、育児の不安もじっくり相談できて心強いですね。産後ケアでリセットされて、また頑張ろうって思えるんです」と話します。
Aさんがこの事業を利用したのは、出産後、家庭を訪問した助産師に紹介されたのがきっかけだったといいます。このように、市では、産前産後に、特にきめ細やかな相談体制を築き、母子にとって必要なサービスに結び付けています。
健康・子育て支援室
寺嶋紗希(助産師)
▽デイサービス型産後ケア
退院直後の母子の健康状態や乳児の発育チェック、育児に関するアドバイス、母親の心理面のケアなどを行います。
日時:毎週月・水・金曜日(祝日除く)9:00~16:00
場所:赤目保育所
利用料:無料
対象:1歳未満のお子さんとその母
定員:1日1組
◎申込には、事前相談と申請手続きが必要です。詳しくは市HPで
▽手厚くサポート 産前産後の相談支援
・妊娠届出時
保健師・助産師が面談などを実施。妊娠中の過ごし方や、相談窓口、産前・産後の支援などをお伝えします。
↓
・妊娠8カ月頃
妊娠中の困り事や心配事をアンケート。必要に応じてサービス利用を一緒に考えます。
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・生後2週間目全戸電話相談
保健師・助産師が健康状態や困り事がないかなどをお伺いします。
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・生後2カ月頃
主任児童委員などが家庭を訪問(こんにちは赤ちゃん訪問)。子育て支援制度などをお伝えします。