くらし 未来へつなげる平和への思い(戦後80年)

■今、私たちにできること。次世代がつなぐ“記憶”
戦争体験者が少なくなっていく中で、未来を担う若者がその記憶を継承していくことの重要性は、ますます高まっています。
今回は、滋賀県立大学の学生が滋賀県平和祈念館を訪れ、戦争の記憶の保存・継承のため、どのような取組を行っているのか、職員に聞きました。

・滋賀県立大学 生活デザイン学科3回生 安藤 璃咲(あんどうりさ)さん
・滋賀県平和祈念館
副主幹 田井中 洋介(たいなかようすけ)さん
主任主事 村田 明(むらたあきら)さん

安藤さん:私のように戦争を知らない世代に向けて、平和祈念館ではどのように戦争体験を継承されていますか。
田井中さん:滋賀県民が体験した戦争の記憶を記録・展示しています。本人から直接聞いているように感じられるように、話し言葉のまま展示しているのが特徴です。出征した人のみでなく、送り出した家族の思いなど、日常に密接した体験談を数多く紹介しており、多くの県民に共感し、受け継いでほしいと考えています。
村田さん:そのほかにも子どもたちへは、出前授業や来館授業を通じて平和学習を行っています。例えば、戦時食の体験として、サツマイモを植え収穫して食べるといった活動を取り入れ、聞くだけでなく実際に体験することで学びを深めています。大人向けには、映画上映や講座、YouTubeでの情報発信なども行っています。

安藤さん:戦争を体験したことのない私たちのような世代が、戦争の記憶を未来へつないでいく必要があると思います。どのような課題を感じておられますか。
田井中さん:戦争体験者の減少が避けられない中で、戦争の記憶をどう残し、語り継ぐかが重要です。堅い話でなくても、当時の思い出など、その人ならではの記憶を丁寧に聞き取り、記録として残していきたいと考えています。
村田さん:保存された情報を当時と全く違う生活を送っている子どもたちにわかりやすく伝える工夫が必要だと感じています。今の時代、AIを使えば記録を読み上げてもらうことはできますが、体験者の心情など生身の人間だからこそ伝えられることがあると思います。単なる記録の伝承で終わらせることなく、体験として語り継ぐためには元の体験談を守りつつ、工夫をして伝えていくことが大切だと考えています。

●県立大学 学生 安藤さんのコメント
平和祈念館では、ビデオ映像やパネル展示など当時の人々の「思い」を伝える展示が印象に残っています。次の世代である私たちが戦争について知り、考え、平和のために行動することが大切だと感じました。

●「私の考える戦争と平和」作文募集
戦後80年を迎え、若者が戦争について考える「きっかけ」づくりとなるよう、作文募集を行います。
応募資格:滋賀県内の小学生、中学生の方
応募締切:令和7年9月8日(月)
主催:一般財団法人滋賀県遺族会

●平和祈念館イベント情報 平和祈念week2025
戦後80年特別企画として「つなぐ」をキーワードに、中学生による鹿児島県知覧訪問学習の成果発表や、戦争遺跡・戦争証言映像上映会などを予定しています。
期間:令和7年8月11日(月・祝)~8月17日(日)

■滋賀県平和祈念館
県民から寄せられた戦争体験の記録や、戦時中の実物資料などを展示しています。
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月・火曜日(祝日は開館)
※7/16~8/24は無休

問合せ:滋賀県平和祈念館
【電話】0749-46-0300
【FAX】0749-46-0350
【E-mail】[email protected]