くらし すべての人を大切にするまちに―正しく知って、差別を見抜く力をつける―

■同和対策審議会答申から60年
令和7年度は、同和対策審議会答申(同対審答申)が出されてから60年という節目の年です。
これは、部落差別の実態と解消のための施策について、国からの諮問に対して、3年間の実態調査の上、昭和40(1965)年に同和対策審議会が答申したもので、部落差別が実際に存在することや地域の実情の他、その解決は国の責務であり、同時に国民的課題であることなどが記されています。
この答申を受けて特別措置法が施行され、住宅や道路、上下水道などの生活環境に関する整備や、社会福祉施策の充実など、他の地域と比べて遅れていた生活環境の改善が進められていきました。
また、教育分野では、高等学校や大学への進学率の向上や、安定した就労に向けての取り組みを行ってきました。

■差別は〝寝た〟の?
「寝た子を起こすな」とは、学習の面で言えば、部落差別についての学習をせず、そっとしておけば差別はなくなる、という考え方です。
この考え方について同対審答申では「『寝た子を起こすな』式の考えで、同和問題はこのまま放置しておけば社会進化に伴い、いつとはなく解消すると主張することにも同意できない。」と記述があり、教育や啓発を含めたさまざまな分野での差別解消のための方針や対策についても記されています。
歴史をたどれば、解放令が出た明治以降、積極的に「同和教育や人権啓発」が行われてこなかった時代もありましたが、現代においても差別が残っており、根深い差別の現実があります。
このことからも「寝た子を起こすな」という考え方は誤っており、差別が〝寝て〟などいないことが分かります。

■現代に残る差別の形
では、答申から60年、現在の状況はどうなっているのでしょうか。60年が経過した現在においても、差別は解消していません。近年では、特にインターネットやSNSを使用した誹謗中傷などの差別事象が多く発生しています。誰もが簡単にアクセスできる場所に、差別発言が書き込まれているのです。
差別かもしれない情報に触れたとき、差別について正しく学習していなければ、これは差別ではないかと疑問を持てず、その情報を信じ、さらに自分が他人に伝えてしまい、拡散してしまう恐れがあります。差別をしていないつもりが、差別する側になってしまうのです。
インターネットやSNSなどからさまざまな情報が得られる時代であればこそ、誤った情報や偏見からくる差別を、未来に残さないための学びが必要です。

■「教育と啓発」が差別解消につながる
同対審答申には「いかなる時代がこようと、どのように社会が変化しようと、同和問題が解決することは永久にありえない、と考えるのは妥当でない。」との記述があります。平成28(2016)年に施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」にも「教育と啓発」を行うものとしています。
同対審答申から60年を経て、差別の実態は変化しつつありますが、今もなお差別は残っています。私たち一人一人があらゆる機会を通して、人権について正しく学び続けなければなりません。豊かな感性を磨き、人権感覚をアップデートし続け、お互いの人権を尊重し合える社会をめざしていきましょう。

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