文化 歴史の小窓ー学芸員のメッセージー238

■日本を代表する竹工芸作家 杉田静山(すぎたじょうざん)
野洲市西河原に工房を構えて活動した故・杉田静山氏(1932~2017年・享年85歳)は、日本を代表する竹工芸作家です。
1932年に大阪で生まれた同氏は、12歳の時に病気により聴力を失いました。13歳の時には戦災に遭い、両親の故郷である野洲に移り住みます。このことが野洲川の竹を使った竹細工との出会いであり、独学で竹籠を作り始めるきっかけとなりました。1969年の「日展(にってん)」初入選を機に、作家として注目されます。1973年には日本伝統工芸展に初入選。1997年には滋賀県指定無形文化財保持者(竹工芸)に認定されました。2017年に旭日双光章(きょくじつそうこうしょう)を受章され、同年に逝去されました。
その作品は、竹のしなやかさを生かした繊細さと優美さを兼ね備えた作風に特徴があります。また、自然をイメージしたものが多く、暖かみのある造形を生み出しました。
昨年、工房で保管されていた作品の中から6点を、妻の杉田昭子(しょうこ)氏より博物館に寄贈いただきました。
夏期テーマ展では、寄贈作品6点をはじめ、愛用道具などを展示します。本展を通して、杉田静山氏が追求した美の世界を感じ取っていただく機会となれば幸いです。
(博物館学芸員 齊藤慶一)

■夏期テーマ展「竹工芸作家 杉田静山の世界-美へのまなざし-」
会期:7月18日(金)~9月28日(日) 午前9時~午後5時(入館/午後4時30分まで)
※会期中の休館日…月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカード等をご提示ください。)

問い合わせ:歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413