イベント 特集 転がし続けて18年─ 雲原ドラム缶ものがたり(1)
- 1/41
- 次の記事
- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府福知山市
- 広報紙名 : 広報ふくちやま 2025年6月号
川の中でドラム缶を転がすレースがあるのをご存知ですか?「ドラム缶転がしタイムレース(ドラム缶レース)」は福知山市雲原で2007年から行われている全国でも珍しいレースです。30名を超える雲原砂防(さぼう)イベント実行委員会の皆さんが知恵と力を出し合って続けてきました。今年で最終回を迎えることになったこのレースの仕掛人たちに迫ります。
雲原砂防イベント実行委員会
・委員長 西原正範(にしはらまさのり)さん(66)
・事務局長 渡邉重則(わたなべしげのり)さん(64)
・事務局次長 鎌田誠(かまだまこと)さん(62)
■雲原をみんなで盛り上げたい ドラム缶と砂防で町おこし
渡邉重則(わたなべしげのり)さんは、実行委員会を立ち上げた当時の思いをこう振り返ります。
「ドラム缶レースはもともと、地域の学校がなくなることがきっかけで始まりました。2006年には公誠小学校が閉校、翌年は北陵中学校の閉校が決まり、『何か地域を盛り上げることをしたい』と考えていました」
そんな中、雲原川を含む雲原砂防群が国の登録記念物(遺跡)第1号に選ばれました。
「身近にある川なので、何がすごいのか正直よく分かりませんでした。地域のみんなも『ただの川やん?』という感じ。でも、雲原砂防について知っていくうちに『この立派な防災施設をもっと多くの人に知ってもらいたい』と強く思うようになりました」
川を使ってどうやって雲原を盛り上げられるか、みんなで議論を重ねました。
「最初は運動会の大玉転がしみたいなものを考えましたが、軽いものだと水の上を空回りするし、破裂してしまいます。ほかのどこにもないことをしたい。どうしたものかと色々と考える中で『そうや、ドラム缶や!』となったんです」
■転がし続けて気づけば18年 たくさんの人のおかげ
このレースは、年々少しずつ輪を広げ、全国から多くの挑戦者が集まるイベントになりました。
「人気テレビ番組で特集されることもあり、いつしか『雲原といえば、ドラム缶レース』と言われるようになりました。地域やボランティアの皆さんが力を合わせてレースを続けてきたからです」と、渡邉さんは笑顔で話します。そんな思い出いっぱいのイベントを今年で最後にすると決めました。
「レースの運営は70人ほど必要ですが、地域の人数は昔に比べて減り、我々も歳をとりましたから。今まで本当にたくさんの人に協力してもらったので、ちゃんと『最後』とお知らせしてから終わりたいと思いました。今後は、人が減っても続けられるような新しいイベントの形を考えています」
■ドラム缶レースは最後やけど— 次はなにをしよかなぁ
○雲原川が声援と拍手に包まれる
ドラム缶レースは、これまで多くの思い出を地域に残してきました。鎌田誠(かまだまこと)さんは、こう振り返ります。
「やっていることは、子どもの頃の遊びの延長みたいなものですが、みんな勝負となると真剣です。
『抜けるか?』『いけー!』などの声が飛び交って、最後の最後まで目が離せません。ゴール手前はかなり大きな段差があるので、重いドラム缶をチームで息を合わせて押し上げます。見ている人も自然と声が出て、上がった瞬間には拍手が起こって。お祭りみたいな盛り上がりです」
委員会のメンバーで集まると過去のレースの話で盛り上がるそうです。
「『あの子が優勝したな』『あの時はすごかったな』って、よく話してます。懐かしむことしかできなくなると思うと、少し寂しいかな」
○最後のドラム缶レースぜひ参加して
西原正範(にしはらまさのり)さんは、雲原のこれからについてこう語ります。
「18年前、『閉校するけど、これははじまり』という思いでイベントを始めました。今回も同じ。これで私たちの活動が終わるわけじゃない。『鬼を活用したイベントはどうか』『雲原川を使った別のイベントは』とか、次はなにをしよかなぁと、自然とそんな話が出ています」
最終回を7月21日にひかえ、西原さんはこう呼びかけます。
「ドラム缶レースは雲原だけ。ぜひ見に来てください。これからも、レースでつながったご縁を大切にしながら雲原を盛り上げていきます。雲原砂防もいつでも案内しますよ」
雲原川を転がり続けるドラム缶のように、雲原のものがたりはこれからも止まりません。
■雲原を応援しませんか?
雲原ファミリー募集中
・イベントに参加する
・チラシを配布する
・SNSで発信する
・企画を考える
特典:協賛のお店でサービスが受けられます
■第19回 ドラム缶転がしタイムレース FINAL
日時:7月21日(月・祝)9時~15時
場所:旧公誠小学校下の川
定員:
一般の部…30組
女子の部…10組
ちびっ子・親子の部…30組
(いずれも先着順)
費用:
一般の部、女子の部…3,000円/チーム
ちびっ子・親子の部…500円/人
その他:雲原砂防展示・模型実験、魚つかみ大会、屋台など
申込みは7月14日(月)まで
問合せ:雲原砂防イベント実行委員会
【電話】090-7495-7286