くらし 特集 転がし続けて18年─ 雲原ドラム缶ものがたり(2)

■国の登録記念物第1号
雲原砂防(さぼう)のココがスゴイ!

○そもそも砂防って何?
砂防とは、山や川底から土砂が流れ出ないようにする対策や、流れ出した土砂を安全に下流まで流す対策のことです。砂防の歴史は古く、今から1300年以上前からあると言われています。

○どうして雲原に砂防施設が?
1934年の台風で雲原村が壊滅的な被害を受けたため、京都府が大がかりな砂防工事を18年かけて行いました。その頃、工事用機械はほとんどなく、工事の大半は人力で行われました。

○雲原砂防は現代の砂防の先がけ
行われた砂防工事は大きく分けて3つで、上流と下流を一体として計画されました。
(1)山からの土砂をブロックする工事
(2)川の流れをゆるやかにする工事
(3)川を水の流れから守る工事
画期的な事業だったため、当時は年間に1000人以上の人が視察に来たそうです。その技術や歴史的価値が評価され、2006年に国の登録記念物(遺跡)に登録されました。雲原砂防は70年以上たった今も地域を守っています。

■雲原砂防に見る防災の技術
(1)土砂をブロックする堰堤工(えんていこう)(7基)
山の谷間に土砂止めを築き、山で崩れた土砂が川へ流れないようにする施設です。

(2)流れをゆるやかにする床固工(とこがためこう)(117基)
一定区間ごとに段差を設け、川の勾配をゆるくしています。
川の勾配がきついと流れが速くなり、川岸や川底の土砂が削り取られてしまうからです。

(3)川を守る流路工(りゅうろこう)(11.5km)
川岸が土砂に削られないよう、曲がっている川をなるべくまっすぐにしています。また、川岸や川底を石積みで保護しています。

■雲原砂防は人と人をつなぐ防災施設
2012年に福知山に異動して、雲原砂防の担当になり、雲原の人たちと出会いました。驚いたのは、雲原砂防が単なる防災設備ではなく、地域のイベントに活用され、人と人をつないでいることでした。
私自身、ドラム缶レースや砂防施設を巡る「歩こう会」に参加して、地域を盛り上げようとする雲原の人たちにとても感激しました。こうした熱意が新たな形で受け継がれていくことを願い、これからも雲原を応援していきたいです。

雲原砂防を管理する京都府中丹西土木事務所 吉川淳史(よしかわあつし)さん
(ドラム缶レースに第6回からフル出場している「ミスタードラム缶レース」)