- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府福知山市
- 広報紙名 : 広報ふくちやま 2025年6月号
■命を守るために少しでも早く動く
近年の集中豪雨は各地で深刻な被害をもたらしています。2023年8月14日、台風第7号の影響で市内の各地に甚大な被害がありました。大江町市原では田中川があふれ、中野実賢(なかのみよし)さんの自宅も被害を受けました。
大江町市原に住む
中野実賢(なかのみよし)さん
○命に危険が迫る夜
2年前の8月14日の夜、中野さんは自宅で家族と過ごしていました。
「午後11時頃、『雨がひどい』と家族が言うので外を見ると、そばの川の水が既に溢れかけていました。山からはゴーッという音が聞こえました。今思えば、あれが土砂災害の前兆だった気がします。大切にしている車が壊れたら大変なので、移動させようと思いました」
4台のうち2台目を移動させた帰りには、川の水が道に溢れていました。中野さんは押し寄せる濁流に恐怖を感じたそうです。
○濁流の中を這いつくばって移動した
「濁流は脛(すね)ぐらいまであり、履いていたサンダルの片方は流されてしまいました。濁流の勢いに立っていられず、這いつくばるように何とか帰りました。死ぬかもしれないと思いました」
家に戻ると、中野さんはすぐさま家族に避難を呼びかけました。
「逃げるぞ」
川から離れた畑の畔(あぜ)を通り、まだ水が来ていない隣家へ家族と避難し、雨が止むのを待ちました。家に帰ったのは避難した2日後だそうです。
「家の玄関を開けると土砂がどっと入っていて、どこから片付けていいか分からないほどでした」
○大切な財産も命には代えられない
「こんな雨は今までありませんでした。雨が降る夜は、今でも思い出して眠れないことがあります」
中野さんは最後にこう語ります。「急な集中豪雨で、手の打ちようがありませんでした。それでも、自分や家族の命を守るためには、『少しでも早く動く』ことを心がけるしかないと思います。車は大切な財産ですが、命には代えられません。家族全員が無事避難できたことが何よりでした」
■土砂災害の前兆
大雨が降ると土砂災害の危険性が高まります。
前兆現象がみられたらすぐに避難してください。
・渓流の水位が急に減少
・ゴーッという地鳴り音
・土臭いにおい
・湧き水の停止
・斜面に亀裂やふくらみ
・石がボロボロ落ちてくる
問合せ:危機管理室
【電話】24-7503【FAX】23-6537