文化 シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介(92)

■「メタセコイアの化石」
所蔵:夜久野町化石・郷土資料館

写真の化石は、個人の方から夜久野町化石・郷土資料館に寄贈されたメタセコイアの化石の一部です。写真(1)は兵庫県で、写真(2)は京都府で採取されました。
メタセコイアは白亜紀に出現し、新生代第三紀(約6500万年前~260万年前)に栄えた植物です。当初、化石しか発見されなかったため絶滅種とされていましたが、1946年に中国の四川省で現存種が発見され、「生きている化石」として当時一躍有名になりました。「生きている化石」とは、長い期間その形態をほとんど変えずに生き続けている生物のことを指し、メタセコイアは現在も生き続けています。
「メタセコイア」という名前は、1941(昭和16)年に植物化石として発見した三木茂(みきしげる)博士(元大阪市立大学教授)によって付けられました。その植物化石の姿が、針葉樹のセコイアに似ていたことから、「変形した」という意味の接頭語である「メタ」をつけて「メタセコイア」と命名したそうです。
メタセコイアは日本ではいったん絶滅しますが、49(昭和24)年に種子から育苗していたアメリカの博士が天皇に献呈したことで、再び日本に生息することとなりました。翌年には、百本の苗木がアメリカから送られ、それらの木から挿し木された苗が日本各地に広がり、学校等に移植されました。
福知山市内でもメタセコイアを見ることができますが、その特徴の一つは、葉が対生(たいせい)(=葉が向き合って軸から伸びていること。写真(3))である点が挙げられます。写真(1)の化石には葉の形状がはっきり残っているため、この点がより実感できると思います。この化石を観察すると、現在日本で見られるメタセコイアの形状と変わらないことがわかります。また、メタセコイアはヒノキ科の針葉樹ですが、他の針葉樹とは異なり、冬になると黄葉し落葉することも特徴です。
夜久野町化石・郷土資料館では実際にこの化石を近くで観察することができます。ぜひお越しください。

※掲載の写真は本紙をご覧ください。

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