くらし ディスカバリー 知の扉を開く 大学教員の研究紹介

市と連携協定を結ぶ各大学の教員の研究内容を紹介します。
知の拠点「大学」を身近に感じてください。

■No.7 おもちゃ会社で培った経験を生かし月面探査ロボットを研究
同志社大学生命医科学部医工学科 教授 渡辺公貴さん
『同志社大学出身で、京都は思い出の地です。京田辺には、同級生と一緒にキャンパスができる様子を見に来た思い出があります。』

◇研究内容は
私が以前務めていたおもちゃ会社や宇宙航空研究開発機構(JAXA)・大手電機メーカー・同志社大学が連携して、超小型の変形型月面探査ロボット「SORA-Q(ソラキュー)」を開発しました。そのプロジェクトに私も関わらせていただきました。昨年1月に月面に着陸した日本の小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」には、SORA-Qが搭載されており、日本で初めて月面の撮影に成功しました。深夜に撮影成功の報告を受けたときは、電話で仲間と喜びを分かち合ったことを今でも覚えています。その写真は全国紙の一面に掲載されるなど、大きな注目を集めました。なお、SORA-Qは大阪・関西万博で展示されています。

◇SORA-Qの特長は
宇宙空間に物を輸送するにはかなりのコストがかかります。特にSLIMは非常に小さな着陸機であるため、わずか数グラムの機器を搭載するだけでも影響が及びます。SORA-Qは比較的安価に製造でき、世界最小・最軽量であるため、輸送コストの面でも大きな利点があります。地球との通信に必要な機能を削減し、自らの判断で写真を撮影できる自律式にしたことも軽量化に寄与しています。
一方で、小型・軽量化が進むほど、月面の不安定な砂地を走行することが難しくなります。わずかな斜面すら登れなかった当初の課題は、ウミガメの赤ちゃんが砂浜を進む際の動きをヒントにし、SORA-Qの車輪の軸をずらして、砂を押さえながら進む構造にすることで解決しました。
研究には課題がつきものですが、諦めずにやり遂げることを意識しながら取り組んでいます。

◇研究のやりがいは
教育に携わることに意義を感じています。研究にはたくさんの優秀な学生が関わっていて、次々と新しいアイデアが生まれる過程は非常に面白いです。現在は学生が中心となり、4輪の月面探査ロボットの開発に取り組んでいます。せっかく大学にいるのだから、面白い研究に携わり、記憶に残る有意義な学生生活を送ってほしいです。

◇市民の皆さんとのつながりは
京田辺は玉露が有名なので、宇宙食としてお茶を使った菓子を開発できれば面白いと考えています。同志社大学には、さまざまな先生が宇宙に関する研究を行っています。今後、宇宙に興味のある市民の皆さんに、研究を見学できる機会を提供できればと考えています。

問合せ先:市民参画課
【電話】64-1314