- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府木津川市
- 広報紙名 : 【京都府木津川市】広報きづがわ 2025年10月号
■木造役行者倚像(もくぞうえんのぎょうじゃいぞう)及び前鬼後鬼坐像(ぜんきごきざぞう) 海住山寺(加茂町例幣)
役行者は奈良時代に実在した人物ですが、中世には伝説化され、修験道(しゅげんどう)の開祖と仰がれるようになります。そのため、その肖像は修験道ゆかりの寺院によく伝わっています。海住山寺は、中世から近世にかけて、醍醐寺三宝院を本寺とする当山派(とうざん)はの有力寺院のひとつでした。
中央で役行者像が岩座に腰を掛けて座り、役行者に仕えた夫婦という前鬼と後鬼が、その両脇に座ります。役行者が、膝以下を露出させず足首まで裙(くん)(スカート状の着衣)で覆う姿であるのが珍しいとされます。
役行者像の像底に墨ぼく書しょがあり、鎌倉時代末期の元徳(げんとく)2年(1330年)に、院延(いんえん)という仏師によって造立されたことがわかっています。前号で紹介した神童寺の像とともに鎌倉時代に溯る数少ない役行者像の作例であり、しかも造立年代と作者が判明するという彫刻史上の基準となる資料です。以上のように、この像が存在する意義はとても大きく、令和6年に市指定文化財となりました。秋の特別公開(詳しくは14ページ)でぜひ拝観ください。
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