- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府堺市
- 広報紙名 : 広報さかい 2025年3月号
サードプレイス:家庭や職場などとは違う、居心地がよくリラックスできる場所
堺は千利休を生んだ「茶の湯」文化の街。一盌(わん)のお茶を通じて、日常生活に潤いを与えてくれる茶の湯の魅力を、改めて感じてみませんか?「堺茶の湯まちづくり条例」の基、茶の湯を身近に楽しめる堺で、その奥深さを体験してみましょう。
■現代の生活に生かしたい!茶の湯の教え
◇侘(わ)び寂(さ)びの美学
茶室や茶道具に見られる侘び寂びの美学、特にゆがんだ茶碗(わん)など、無駄を省いてあるがままを貴ぶ姿は、現代のミニマリズムなどに通じています。
◇一期一会の精神
一会の茶会を二度とない貴重な機会と考える一期一会の精神は、今この瞬間を大切にするマインドフルネスに通じ、癒やしと新しい気付きをもたらします。
◇心の静けさと調和
茶の湯のシンプルさや静けさは、忙しい現代人にこそ必要な余白や間を提供します。集中して茶を点てる動作を通して、心の調和を得ることができます。
■茶の湯の歴史を知ろう!
◇千利休と堺
堺は中世、自由・自治都市として栄え、多くの優れた茶人が生まれました。中でも武野紹鷗らに茶の湯を習った千利休は、織田信長や豊臣秀吉に仕え、茶の湯文化を大成しました。
◇庶民が楽しむ文化
当時の茶道具が堺環濠都市遺跡から多数発掘されており、武士や文化人はもちろん、一期一会の精神を大切にする商人や庶民にも広く茶の湯文化が根付いていたことがうかがえます。
■市の取組を紹介
◇おもてなし茶会
無料で抹茶と和菓子を楽しめる市民向けの茶会や体験イベントを、市役所などで定期的に開催しています。
◇ロゴマークの制定
市民の皆さんや国内外から堺を訪れる方に、堺と茶の湯のつながりを知ってもらうため、ロゴマークを作成しました。
◇堺・スタンダード
学校教育の一環として茶の湯を取り入れ、小・中学生が茶の湯の作法やもてなしの心を学んでいます。
■気軽に体験できる茶の湯スポットを紹介!
◇堺市茶室「伸庵」
立礼呈茶で気軽にお茶が味わえます。
場所:堺区百舌鳥夕雲町2丁(大仙公園内)
◇大仙公園日本庭園
池のほとりでお茶を頂けます。
場所:堺区大仙中町(大仙公園内)
◇茶寮 つぼ市製茶本舗堺本館
1850年創業の老舗茶屋によるカフェ。
場所:堺区九間町東1丁1-2
■茶の湯のもてなしの心でお迎えしましょう!
〈文化課 脇山さん〉
大阪・関西万博では茶の湯文化をはじめとする堺の魅力を積極的に発信し、多くの人々に堺の文化を体験してもらうことをめざしています。茶の湯で培ったもてなしの心で、国内外から訪れる方を歓迎しましょう。
■さかい利晶の杜で茶の湯体験施設担当の宮本さんに、茶の湯の魅力や日常生活への取り入れ方をお聞きしました。
▽さかい利晶の杜 茶の湯体験施設担当 宮本雅代さん
堺市出身。高校時代に裏千家へ入門、社会人になってから武者小路千家の茶の湯を学び、現在はさかい利晶の杜の運営ディレクターとして、茶の湯体験施設のコンシェルジュを務める。
万博でもその魅力を発信します!
◇心ほどける、茶の湯の世界
茶の湯の魅力は、安心できる空間にあります。
私が茶の湯と出会ったのは、幼稚園に入る前のことでした。母のお茶の稽古について行き、お茶室の障子越しに差し込む光の美しさに心を引かれました。
一般的には敷居が高いと考えられがちですが、実際にはとても温かく、心落ち着く文化です。抹茶スイーツをカフェで楽しむ人が多いことからも、決して遠い存在ではないと伝えたいです。
◇茶の湯に宿る、もてなしの心
茶の湯の精神は「四規七則」に表されています。
四規とは「和敬清寂」のこと。これは、調和、敬意、心の清らかさ、動じない心を意味します。
また、「利休七則」は、実践的な心得を示しています。この精神は、日々の暮らしにも生かすことができます。
《利休七則》
・茶は服のよきように点て(心を込める)
・炭は湯の沸くように(適切に準備する)
・花は野にあるように(自然を尊ぶ)
・夏は涼しく、冬は暖かに(季節を大切に)
・刻限は早めに(余裕を持つ)
・降らずとも雨の用意(備えを怠らない)
・相客に心せよ(皆に心配りをする)
◇茶の湯で日常にゆとりを
私自身、茶の湯に助けられた経験があります。
悲しい出来事があった時、茶の湯に没頭することで無心になり、心を整えることができました。
「喉が渇くと水を飲む。心が乾けばお茶を飲む」という言葉がありますが、お茶の時間は精神統一と癒やしのひと時です。
また、茶道を通じて段取りを考えながら行動できるようになったという声もあります。親子で体験した際、こどもが点てた抹茶を飲んで感動し、涙を流された方もいました。茶の湯は、人と人をつなぐコミュニケーションツールでもあります。
茶器や和菓子を楽しむことから始めるのも良いでしょう。お茶の作法は、日本だけでなく世界の礼儀作法にも通じます。お茶を頂きながら器の話をしたり、季節の移り変わりを感じたりすることで、日常がより豊かになります。「マナーはあるけれどルールはない」という精神を大切にしながら、お茶を生活の一部として取り入れてもらえたらうれしいです。
◇さかい利晶の杜
千利休と与謝野晶子を通じて堺の歴史・文化を楽しみながら学べるミュージアム。茶の湯体験やVRなど、体験型コンテンツも充実しています。今年は開館10周年を記念した特別展示やイベントも多数開催予定。ぜひこの機会に施設を訪れ、堺に根付く茶の湯の魅力を再発見してください。
場所:堺区宿院町西2丁1-1
時間:9~18時(入館は17時30分まで)
茶の湯体験は10~17時
休館:第3火曜日(祝休日の場合は翌日)
問合せ:【電話】260-4386
【FAX】260-4725
《黄金の茶室 展示公開》
豊臣秀吉が大坂城内に造らせたという黄金の茶室(復元/京都市蔵)を展示。期間中「さかい待庵特別観覧セット」(火・金曜日11・14時に実施/要申込)に参加の方は、復元茶室「無一庵」にて、黄金の茶碗で呈茶体験ができます。
日程:3月19日~5月19日。4月15日は休館
有料
問合せ:文化課
【電話】228-7143
【FAX】228-8174