- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府高槻市
- 広報紙名 : 広報たかつき(たかつきDAYS) 令和7年11月号 No.1452
【いちご→ドライフルーツ】
●完熟のおいしさを新しい価値に
出荷できなかったいちごをなんとかしたいと、いちご農家の4代目が思いついたのはドライフルーツ。
生産者が自ら加工もして別の形で販売する6次産業化で、生果とは違う魅力を伝えている。
〔Strawberry〕
・高槻産いちご
11月下旬から5月ごろ、最盛期は4~5月。昭和25年ごろから阿武野地区で作られる露地いちごは、毎年品評会が行われる特産品。最近はハウス栽培の農家も増え、「北摂いちご」として販売。いちご狩りを行う農園も
◇「もったいない」から生まれた新たな魅力
・昭和40年代からのいちご農家、寺田農園の寺田和弘さん。5年前に就農。「Opalのいちごやさん・寺田農園」のYouTubeチャンネルも
※詳しくは本紙をご覧ください。
高槻のいちごは通常、甘く熟したものを収穫して地元で直販されている。跡継ぎとして家業を手伝い始めた寺田さんは、出荷先が休みで傷んでしまういちごが気になっていた。そこで2年ほど前から始めたのが、ドライフルーツへの加工。行き場のないものや、形が悪いものを活用する。
作り方はシンプル。砂糖などは一切使わず、ただ乾燥させるだけ。「完熟いちごの甘みと香りが凝縮されてより強くなり、いちごのおいしさが際立ちました」。ドライにすることで日持ちがよくなり、軽いため通販もできるようになった。今は手作りしているため多くは作れないが、この6次産業化でこれまでとは違う展開をと、寺田さんは考えている。
通販サイトは農家仲間が立ち上げたもの。交流を行う音声配信プラットフォームへの番組出演や自身のSNSなども試しながら、時代に合わせた挑戦を続けるつもりだ。
〔ヨーグルトに入れたり手作りスイーツにも〕
・甘くてジューシーないちごをスライスして乾燥させ、おいしさをまるごと閉じ込めた「ドライいちご」。生果以上の濃厚な香りとうまみが特徴。販売は1~6月ごろ
寺田農園(塚原)
【福バナナプロジェクト】
●「農福連携」で高槻の新ブランドをつくる
・福福ファームの松田かずやさん。「植えて収穫までしてはじめて経験できるのが農業のおもしろさ」と、日々品質向上のための工夫を重ねる
◇この夏ついに初収穫!高槻産バナナで目指す幸せの連鎖
「高槻にバナナ農園を作る」というプロジェクトが、この夏、実を結んだ。農業と福祉をつなぐ「農福連携」で、就労支援の利用者と一緒に育てた「福バナナ」が、ついに収穫。スタートして約5年、雑草だらけだった土地を整えるところからはじめ、昨年5月にようやく苗を植えて、農薬も化学肥料も使わずに大切に育てたバナナだ。ハウスの周りに溝を掘って水はけを良くしたり、苗を植えるために直径1.5m、深さ80cmの穴167箇所の土を入れ替えたり。「すべて手作業。全員で一つ一つ乗り越えました」。リーダーの松田さんは振り返る。
料理人やパティシエとコラボした商品開発や、収穫体験などができる観光農園化なども計画中。福祉の「福」と幸福の「福」を掛け合わせた福バナナで「作る人、食べる人、農園に来た人それぞれが感じた幸せが、バナナを通じてつながり、関わった人に福がおとずれますように」と、松田さんは願っている。
・6月に初収穫されたのは日本に初めて輸入された台湾原産のバナナで、皮がうすく香りがいい
・収穫期には就労支援利用者を中心に、水やりをはじめ、不要な葉や実の先についている花を除去する
・青い状態で収穫したバナナはまず11~12℃の貯蔵庫で保管。出荷予定に合わせて16~18℃にした室(むろ)で追熟させる
・田園風景が広がる原にある約1,000平方メートルの農園。運営は農業法人福福ファームと就労継続支援A型事業所ユニーク
